日本で電力の自由化が始まった。これは、これまで全国の電力大手10社が独占していた7.5兆円規模といわれる日本の電力市場が開かれ、自由市場の競争が始まったことを意味する。
とはいえ、スタート前からあちこちでかなり喧伝されていたわりには、それほど盛り上がっていないようだ。現時点で契約を切り替えた家庭は53万件ほどで、この数は総契約者数6200万件の1割以下に過ぎない。専門家などによれば、契約者は今後ゆっくりと増加していくという。
日本で電力の小売市場が自由化されたニュースは、海外でも報じられている。海外企業も参入できる市場が1つ生まれたと考えれば、記事に需要があるのは当然だろう。
では日本における電力自由化は、海外ではどう報じられているのか。細かく見ていくと、英字メディアの中には日本が今後直面するかもしれない課題や、これから向かうべき提案など示唆に富んだ記事も見受けられる。
海外では、日本における電力の話となるとどうしても2011年3月に発生した「福島第一原発事故」が先に立つ。
米フォーブス誌では「フクシマから5年、日本の大々的な電力の規制緩和」という記事で、「史上最悪規模のエネルギー災害から5年、世界は再び日本に注目すべきだ。今回は悲惨な出来事ではなく、先にある大きな好機としてだ。日本が電力マーケットをきちんと自由化ができれば、経済を押し上げるだけでなく、国際的なエネルギー分野で中心的な役割を担える機会となる」と書いている。
米ブルームバーグは解説記事を掲載している。自由化の目的は、「福島事故後の広範囲な改革の一環であり、電力供給のさらなる安定化や価格低下、また選択肢増を進めるためのものだ」と述べている。その上で、「2011年の地震と津波、原発事故が東京の輪番(計画)停電を引き起こした。これによって、日本の電力システムの脆弱性が露呈されることになった。原発事故はさらに、原子力発電所の閉鎖につながり、化石燃料の輸入が増え、家庭の電力価格の上昇を強いることになった」と説明する。必要に迫られて自由化に踏み切ったというニュアンスだ。
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