【最終アウトプットの示し方】
前述のように、分析結果は「誰が読んでも正しく意味を理解できる文章で示す」ことが重要である。そのために、下記のような例文を開発した。
○○を取り巻く環境は、
「T」というマイナス要因と、
「O」というプラス要因があり、
総合的には「T+O」であると言える。
その中で、
「W」という弱みをカバーし
「S」という強みを生かしていく。
上記文章の「T」と「O」は、フレームの脅威(Threat)と機会(Opportunity)の欄でしっかり解釈ができていれば、その内容をそのまま転記すればいい。ただし、その場合、プラス・マイナスの両面を抽出しているので、当然、相反する内容が書かれることになる。
そのため、「T+O」として、外部環境は機会・脅威のどちらが勝っていて、どんな状況であるのかというもう一段階の解釈が必要になる。その検討結果を記述する。その検討結果を受けて、「W」と「O」としてフレームの弱み(Weakness)と強み(Strength)の欄の記述内容を転記する。
その結果、自社を取りまく外部環境の中で強みで弱みをカバーできれば、「攻め」の戦略の方向性が見えてくるだろう。逆に弱みをカバーしきれないのであれば、課題としての「守り」の方向性が見えてくる。
【クロスSWOTとの関係】(図3)
SWOT分析で解釈をする手法として「クロスSWOT」と呼ばれるフレームも存在する。数のように、「強み×弱み×機会×脅威」というように、各項目の事実を相互に掛け合わせて解釈を導こうというものだ。一般に用いられるこの方法も有用であるが、項目を「掛け合わせる」という感覚が分かりにくいとの声も良く聞かれる。
だが、やっている内容としては「事実から解釈を展開する」という筆者オリジナルのフレームと同じことだ。クロスSWOTが使いにくいと感じられている方にも筆者のフレームをお試しいただきたい。
前回も述べたが、フレームワークは便利な反面、使い方を間違えると戦略や施策をミスリードすることにもつながりかねない。特にSWOT分析は本稿の冒頭に記したように、最もその危険性が高いフレームだ。ゆえに、今回も「フレームワークは、使用上の注意をよく守ってお使いください♪」のひと言でまとめさせていただきたい。(金森努)
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