外交に対するオバマのこうした姿勢はこれまであまり知られていないもので、米メディアではなぜこのタイミングでこの記事が発表されたのかを訝(いぶか)しむ声も出ているくらいだ。
ちなみに記事内で他の外交問題について触れた部分を少し紹介すると、オバマは自分にとって最大の外交的失態がリビアを泥沼化させたことだと考えているという。また中国については、「成功して興隆する中国」よりも「弱体化して怯える中国」のほうが怖いと語っている。さらに記者は大統領選を戦うヒラリー・クリントンにも触れており、彼女がかつて「中国人に支配された世界に自分の孫は住ませたくない」と語っていたと書いている。
またオバマはロシアのウジミール・プーチン大統領が自分に対しては非常に丁寧で「完全なバカというわけではなかった」と明らかにし、さらにドイツのアンゲラ・メルケル首相は、オバマが尊敬する数少ない世界の指導者の1人だという。
ではこの記事で、オバマは英国に対してどんな本音を語っているのか。
最近オバマは英国に対して、少なくともGDPの2%を防衛費に当てると約束しないなら、英国はもう米国と“特別な関係”にあると主張できなくなるかもしれない、と警告した。オバマはデービッド・キャメロン首相に、「あなたも相応の負担を担わなければならない」と告げ、キャメロンは後にその2%を負担するという約束を守った。
米国と英国は、言うまでもなく“特別な関係”にある。文化や経済でも密接な関係を維持し、軍事的にもつながっている。世界的な諜報活動においても、英語圏の同盟である「ファイブアイズ(米国、英国、豪州、カナダ、ニュージーランド)」の仲間である。そんな英国相手に、リアリストのオバマは“脅し”をかけていたのである。この2%という数字はNATO(北大西洋条約機構)の目標値でもあり、2015年当時に米国による“穏やかな”要求として一部メディアでも報じられているが、オバマのこうした圧力はこれまで表に出ていなかった。ちなみにキャメロンは、その要求をきっちり満たしている。
そして記事にはさらにこうも書かれている。
オバマは、(米国が世界で)絶対不可欠な存在であるということを、受け入れるよりも、時に不快に感じているようにも見える珍しい大統領だ。
オバマは私にこう語っている。「タダ乗り行為にはイライラさせられる」
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