できるだけ添加物を使わず、工場での生産管理も徹底するなど、商品の安全性に関する情報公開にも熱心な同社だが、実は10年以上前に「ゆかり」で異物混入問題を起こしたことがある。そのときに三島氏が「食品メーカーとしての本質」を気付かされた出来事があった。
「お客さまのクレームや問い合わせに対応しているなかで、こんな声がありました。『ゆかりは大好きだから、早く改善してください。これがないと、うちのおばあちゃんはおかゆを食べられないのです』と。これにはハッとしました。良質な食品の提供にはこだわってきたつもりでしたが、この言葉で、食品をつくる重みを痛感したのです」(三島氏)
2011年の東日本大震災発生後も、同じような思いを抱いたという。
「被災地の高齢者施設のスタッフの方から、『被災直後にご飯は何とか手に入りましたが、おかずがまったくありませんでした。でもおたくの商品は熱を加えなくてもおかずになったのです』とお礼を言っていただきました。この2つの『声』をお聞きして以来、『食品とは命をつなぐもの』という認識を持つようにしています」(同)
2016年4月に発生した「熊本地震」では、現在でも多くの被災者が不自由な生活を強いられている。同社でも自社のふりかけを被災地に届けたというが、報道などで被災地の不自由な食生活を知れば知るほど、「食品とは命をつなぐもの」という言葉が一段と重みを持って迫ってくる。
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