どのくらいもらえるの? コンビニの収入事情コンビニ探偵! 調査報告書(2/4 ページ)

» 2016年05月30日 08時00分 公開
[川乃もりやITmedia]

総売上原価=月初商品棚卸高+当月商品仕入高−月末商品棚卸高

純売上原価=総売上原価−棚卸増減原価−不良品原価−仕入値引き高


 オーナーの収入を計算するにはまず、上の計算式で「総売上原価」と「純売上原価」を求める。そして、売上高から純売上原価を引き、契約ごとに本部と店が粗利益を分配して、オーナーの取り分が算出されるというわけだ。

 「総売上原価」とは、その月に売り上げた商品の原価の合計だ。ただし、月初・月末の商品棚卸高とは計算上の商品在高であり、万引きなどで紛失した商品については棚卸しされるまで考慮されない。そして、この総売上原価には、日々発生する商品の廃棄分が原価として含まれている。以下の図を見てほしい。

(筆者作成)

 以前の記事「コンビニで「食品ロス」が絶対になくならない理由」で、弁当などの商品を販売するうえで、販売率が100%になることはないし、あってはならないとされていると書いた。

 本部の言い分としては、商品にある程度の余剰を持たせて機会損失をなくしたい。ただし、発注量はオーナーの技量によるものなので廃棄分は商品原価としては認めないというのだ。フランチャイズ契約がトラブルへと発展する原因は、この計算によることが多い。

 ただ、一定条件下ではあるが、コンビニによっては廃棄分の一部を本部が負担するという契約もある。この場合、「純売上原価」をロイヤルティー計算の前にはさんでいる。要するに、本部は損をしない仕組みになっているのだ。

 また、商取引上の慣習である「一定量仕入れることによる値引き」もロイヤルティーとして求めてくる。商品原価を取り決める商談は本部が一手に行っているので、その営業力によって商品原価が安くなることで“ごほうび的なインセンティブ”が発生する。当然の取り分と言えるが「売れなかった場合のリスクは店舗が持ち、仕入れでトクした分は分配しろ」というのは、いささか欲張り過ぎではないだろうか。

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