世界初の最薄コンドーム「サガミオリジナル001」販売再開 売れすぎの原因は“爆買い”?

» 2016年06月13日 08時00分 公開
[青柳美帆子ITmedia]

 相模ゴム工業は6月6日、約1年間販売を休止していた薄さ0.01ミリメートルのコンドーム「サガミオリジナル001」(以下「001」)の全国販売再開を発表した。約13億円を投じ、生産体制を整えた。驚異的に売れた背景に“爆買い”があったのだという。

6月から販売再開した「サガミオリジナル001」

 「001」は13年11月に世界初の最薄ポリウレタン製コンドームとして発売されたが、「予想を上回る爆発的な売れ行きに応えられる出荷数が確保できない」という判断で15年6月末から販売を休止していた。

「0.01ミリのコンドーム」にまず引かれたのは日本の消費者。しかしそれだけではなく、アジア系の海外旅行者からの需要も少なからずあったようだ。担当者によると、「全体的にどの程度のものなのかは判断がつかないが、外国人旅行者の“爆買い”は新聞やニュース、小売店からの情報で把握している」のだという。

 コンドームの国内市場は、少子化や晩婚化の影響で規模が縮小している。それに対して、インバウンド需要や海外市場はこの先の伸びが見込まれている。特に、世界で最もコンドームを消費している国であり、かつ粗悪品のまん延が問題となっている中国向けの展開は、どのメーカーも魅力的に感じている。

 要するに「001」は“中国需要”の潮流に乗りつつも、予想を上回る需要に対応しきれなかったのだ。

13億円を投じて約1年ぶりの販売再開へ

 なぜ少量であっても「001」の生産を続けることはできなかったのか――。その答えは相模ゴム工業の同シリーズ「サガミオリジナル002」(以下「002」)の好調にある。主力商品である「002」の生産を続けながら、「001」の生産設備や生産システムの見直しを行うことは困難だったそうだ。

 そして販売休止から約1年、13億円を投じ、相模ゴムは「001」の増産体制を整え販売再開に至った。ポリウレタン製コンドーム全体の生産能力は、販売休止前と比較して1.5倍となった。

 「001」の販売は、小売店や一般のネット販売、同社オンライショップで展開する。販売量を考慮しつつ、現状はできていないコンビニ販売も目指していく。国内での販売体制が整ったのち、海外での販売も視野に入れる。

主力商品「002」ラインアップ

 相模ゴムの16年3月期の決算短信によると、売上高は前年同期比5.4%減の32億6700万円、営業利益は前年同期比18.4%減の8億3600万円となった。売上高減と営業利益減の原因の1つに、「001」の販売休止と設備投資があることは言うまでもない。来期は売上高52億円、営業利益7億円を見込む。

 0.01ミリを日本人の手のみならず、外国人まで届けられるか――相模ゴムの今後の展開に注目だ。

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