世界中で毎日8万個 BAKEの「チーズタルト」が売れるようになった理由おいしいだけではない(1/4 ページ)

» 2016年06月14日 08時00分 公開
[伏見学ITmedia]

 渋谷駅から東急東横線の急行電車で10分弱、洗練された住宅街エリアにある東京・自由が丘。駅前の一角にあるガラス張りの建物の前には、連日のように長い行列ができている。今、この店である1つの菓子が飛ぶように売れているのだ。

 その商品はチーズタルト。販売数は1日あたり4000個に上る。店の名前はチーズタルト専門店「BAKE CHEESE TART」。現在、旗艦店であるこの自由が丘店を含め国内で11店舗、海外は香港、シンガポール、タイなどアジア地域で7店舗を運営する。

BAKE CHEESE TARTのチーズタルト。各店で毎日数千個売れる BAKE CHEESE TARTのチーズタルト。各店で毎日数千個売れる

 こうした客の行列は国内外問わずほぼすべての店舗で見られ、待ち時間が最大で4時間を超えた店もあるという。1個200円(税別)のチーズタルトが毎日国内で5万個、海外でもほぼ同等の価格で3万個売られているのである。

 同店を運営するのは、2013年4月に創業したBAKE。同社は主力であるチーズタルトのほか、シュークリーム専門店「クロッカンシューザクザク」、アップルパイ専門店「RINGO」といったブランドを展開する。売上高は右肩上がりで、初年度に1億円だったのが、4年目となる今年度は90億円を目標を掲げるほど急拡大している。2年目には営業利益も黒字化した。

 比例して店舗数も増加。今年度は国内40店舗、海外20店舗を出店し、6〜7年後には国内外合せて1000店舗にする計画だ。「今後ビジネスの中心は海外に。1000店舗のうち海外比率を8割にする」とBAKEの長沼真太郎社長は意気込む。今年度はアジアだけではなく、カナダや英国など欧米地域への進出も予定する。

BAKEの創業1年目からの売上高推移 BAKEの創業1年目からの売上高推移

 今でこそ飛ぶように売れているBAKEのチーズタルトだが、実はこの“源流”にあたるチーズタルト商品は長年さっぱり売れていなかったのだ。そうした中、ヒットのきっかけとなったのは、ある「凡ミス」だった。

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