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» 2016年07月15日 08時00分 公開

杉山淳一の「週刊鉄道経済」:どこが違うのか クルマと鉄道の「自動運転」 (2/6)

[杉山淳一,ITmedia]

自動車の自動運転事故は必然だった

 私にとって4台目のクルマにオートクルーズ機構が付いていた。作動させると電車の惰性走行に似ていると思った。私はクルマでも電車っぽい運転をするクセがある。スムーズに加速して、一定速度で走行し、なるべく一定の減速度で停止する。交差点の停止線でピッタリ停まると満足感がある。

 最近のクルマはレーンキープ機能があって、かじ取りなしで車線を維持してくれるそうだ。かじ取りをしないなんてますます電車っぽい。さらに、前のクルマに追随し、レーダーで障害物を検知すると緊急停止、縦列駐車や車庫入れも自動だという。次のクルマは自動装置をたくさん搭載した電気自動車にしよう。電気自動車を略しても電車には違いない……かな。

7月13日に発表された日産セレナのプレパイロット機能。単一車線でドライバーの負担を軽減するという 7月13日に発表された日産セレナのプレパイロット機能。単一車線でドライバーの負担を軽減するという

 自動車の自動運転技術は目覚ましく発達している。そんな中で、米国でテスラ車のクルマがオートパイロットシステムで運行中に事故を起こし、ドライバーが亡くなった。性能面で進化を続けている自動運転技術もまだ完璧ではない。運用の不備で重大な事故が起きる。この事故は不幸だったけれど、この事故のおかげで自動運転技術の進化を知った人も多かっただろう。また、技術の礼賛が目立つ風潮から、自動運転の定義、運用の倫理や法整備まで議論が表面化した。いつかは起きる議論が、この事故できっかけを得た。

 亡くなった方には気の毒だけど、誰かが死ななければ深刻な議論にならない。悲しいかな、これは安全に関する技術が、いつかは通る試練でもある。交通事故をきっかけに作られた横断歩道や信号機は多いし、鉄道の安全技術も多くの犠牲と反省から生み出された。残念ながら、クルマの自動運転も確立するまでは、今後も命の代償が払われると思う。予測不可能な事故について対策を用意できるわけがない。安全施策は事後対策の歴史であるからだ。

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