最初に立ち上げたビジネスの失敗体験から、彼はプロモーションの重要性を学んだ。要するに、いくら優れた商品やサービスを持っていたとしても、それを想定顧客に知ってもらわなければ買ってもらえないのだ。
だから、絞りこまれているとはいえ不特定多数を対象とするB2Cから、特定顧客を対象とするB2Bへと思い切った転換を行った。そうした顧客に対しては、代理店が機能することも理解した。自社でターゲットすべてにアプローチをかけるのではなく、ネットワークを活用する。この知人ネットワークが機能するのも、B2Bのメリットである。
ラッキーなことに、彼が当初立ち上げたサービスは新奇性があり、さらに彼自身が若手ベンチャーだったことも相まってマスコミに取り上げられていた。だから、そうしたビジネスに関心を持っている相手、要するに彼が新たにターゲットに想定した相手の間では、彼の会社はある程度の認知度があった。だから受け入れられた。
その結果、初年度の売り上げが、次年度には10倍以上に伸び、さらに今期は5倍程度の成長を見込んでいる。当初のモデルに固執していたら、今の成長はなかっただろう。
うまく行かなかったときは、もちろんピンチだが、チャンスでもある。マーケティングのセオリーに従ってプランを組んでいれば、どこが問題なのかが分かるはずだ。そこでサンクコストにこだわることなく、問題点を解消する。それができれば、ピンチはチャンスになる。
よくPDCAが大切といわれるが、マーケティングにおいてはPDCAのAはAdjustmentだと思う。セオリーにのっとってプランを立て、実行してみて検証する。思い通りにいっていない場合には、セオリーに照らし合わせて修正する。マーケティングセオリーは、ビジネスを展開するための羅針盤として機能する。(竹林篤実)
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