今知るべき国際情勢ニュースをピックアップし、少し斜めから分かりやすく解説。国際情勢などというと堅苦しく遠い世界の出来事という印象があるが、ますますグローバル化する世界では、外交から政治、スポーツやエンタメまでが複雑に絡み合い、日本をも巻き込んだ世界秩序を形成している。
欧州ではかつて知的な社交場を“サロン”と呼んだが、これを読めば国際ニュースを読み解くためのさまざまな側面が見えて来るサロン的なコラムを目指す。
最近、サイバー攻撃がらみの大きなニュースが続いている。
8月半ばには、米サイバー作戦の一翼を担う米NSA(国家安全保障局)がハッキングされた可能性があるとして欧米で大きな話題になっている。どういうことなのか簡単に説明すると、「シャドー・ブローカーズ」という謎の集団が、NSAの「サイバー兵器(ツール)」を、NSAと関連があるとされる組織から盗むことに成功し、それらをオークションに出すと発表した。
サイバー兵器といってもピンとこないかもしれないが、米NSAなど外国の機関は、他国に対してハッキングや妨害・破壊行為などサイバー攻撃を仕掛けるためのテクノロジーを開発している。それがサイバー空間の「兵器」となっているのである。
元CIA職員でNSAの内部書類を暴露したエドワード・スノーデンは、シャドー・ブローカーズが公表したツールのサンプルを見て、サイバー兵器は本物のようで、おそらく犯人はロシアだろうと主張している。このサイバー攻撃は、米国による国家や民間企業へのサイバー攻撃技術を暴露するかもしれないため、世界のサイバーセキュリティ業界が注視している。
この件以外でも、米国ではさらに大きなサイバー攻撃の事件が起きている。米大統領選をめぐるハッキング攻撃である。米民主党は7月26日の党全国大会で、11月に行われる米大統領選に向けた公認の指名候補として、ヒラリー・クリントン前国務長官を選出したが、その民主党がハッキングの被害に遭い、幹部らのやり取りを含む内部の電子メールが盗まれた。そしてその内容が暴露されて大騒動になった。
最近こうしたサイバー攻撃の脅威に改めてスポットライトが当てられている。特に今回の民主党に対するハッキングでは、サイバー攻撃で他国の選挙結果に大きな影響を与えることが可能であると明らかになった。今サイバー攻撃は、他国の国政を操作しかねない次元に来ていると懸念されているのである。
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