マーケティングの因数分解 3つの「C」とは(3/3 ページ)

» 2016年09月07日 07時15分 公開
[竹林篤実INSIGHT NOW!]
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マーケティング変数その1「3C」

 従ってどんなビジネスであれ、絶対に欠かせないのがCustomer、つまり提供する商品なりサービスなりに、価値を認めて対価を払ってくれる相手を考えること。あなたのビジネスでは、誰が顧客なのかが、はっきりと定義されているだろうか。ここでいったん、この記事のリードに戻ってほしい。リードには次のように書いてあったはずだ。

 「素晴らしいアイデアを思い付いた! これを生かした新製品を開発、あるいは新サービスを展開すれば絶対うまくいく……」

 もちろん、これでうまくいくケースがあることを否定はしない。けれども、これだけでは、非常に危なっかしいとも思う。なぜなら、ここにはCustomerの視点がないからだ。この話をするときに筆者が例に使うのは、日本のS社と韓国のS社のエピソードである。

日本のS社: 「良いものを作れば売れる」

韓国のS社: 「売れるものが良いものだ」

 日本のS社が言う「良い」とは、S社からみた価値判断である。そこに顧客の視点はない。だから、同じテレビを扱っていながら2つのS社には大きな差が付き、日本のS社は海外メーカーの傘下に入った。この事例から学ぼう。

 残る2つのCは、Competitor(=競合)と、Customer(=自社)である。ここではCustomerを頂点として、底辺に競合と自社を置いた三角形をイメージすると良い。顧客はどちらを高く評価してくれるのか。顧客の判断基準は、あくまでも価値と対価のバランスに尽きる。

 仮に、いま展開しているビジネスがうまく回っているなら、狙っている顧客が、自社が提供している商品なりサービスに対して、対価以上の価値を認めてくれていることになる。であるなら再確認すべきは、顧客にとっての価値と対価のバランスであり、競合の動きだろう。この関係を不変だと思い込んでしまうと、成功のジレンマに陥ってしまう。顧客の状況は、常に移り変わる。そもそも顧客を取り巻く環境要件が、簡単に変わるのだ。まず注目すべき変数としてPESTや5Fが重要だ。

 逆に、いま展開しているビジネスが不振ならば、顧客と提供価値と対価のバランスを見直すこと、加えて競合との比較を行うことが喫緊の作業となる。もしかすると、そもそも顧客を想定していたのかとか、顧客にとっての価値をきちんと定義していたかとか、対価設定を原価の積み上げだけで考えていたのではないか、などの反省要素が出てくるかもしれない。

 まずは、価値と対価について振り返ってみること、その際には顧客の視点を徹底すること。これがマーケティング因数分解その1となる。(竹林篤実)

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