「カップヌードルリッチ」という45年の歴史で初という挑戦的な高価格商品は、在庫を切らすことなくきっちりと世に送り出し続ける予測が立てられるのに、さほど斬新でもなく、かなり前から圧倒的支持も確認できている「増量商品」の予測は大ハズレ。わずか半年の間にまるで「別人」のようになってしまっていることが、なんとも不可解なのだ。
さらに、「謎肉祭」が他の「品薄商法」疑惑商品と決定的に違う点がもうひとつある。
「レモンジーナ」「ヨーグリーナ」「トムヤムクンヌードル」などこれまで「品薄商法」の疑いをかけられた商品というのは、「カップヌードルリッチ」のように、ブランドの新しい可能性を広げて新たな市場を生み出すといういわば、「戦略商品」だ。
しかし、「謎肉祭」は違う。商品プレスリリースにも、『パッケージデザインも記念商品らしいお祭り感を演出し、この "謎肉祭" を盛り上げます』とあるように、「カップヌードル45周年」という金看板を背負って世に送り出された「記念商品」である。だからこそ、1年半前から入念に「謎肉」という言葉が煽られてきたのだ。
45周年という節目の年を盛り上げようとするときに、「同じ価格のカップヌードルビッグの1.5倍程度見積もっておけばいいか」なんてしょっぱいことを、あの日清がやるだろうか。誰がみても炎上間違いなしの矢口真里さんを確信犯的にCMに起用するほど「攻めの企業」が、そんな「守り」の計画を立てるだろうか。
この「記念商品」の販売休止という、これまでとやや色合いの違う現象を見て、まず頭に浮かんだのは、化粧品業界の「限定商品」である。
女性の方はお分かりになるだろうが、10年ほど前から、化粧品ブランドはことあるごとにリップやマスカラの「限定色」「限定商品」を出している。その理由を、日経MJが以下のように分析している。
『化粧品業界で「限定品戦争」がぼっ発している。狙いは新規顧客の獲得だ。話題性が高く今しか買えない商品で飢餓感を刺激し、購買意欲を引き出す作戦だ』(日経MJ 2002年4月4日)
つまり、売れるはずなのに数量を絞ることで、「ブランド」の価値を釣り上げているのだ。これが、妙に今の日清と重なる。
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