700万円を遊興費に使った市議が、メディアに「老後の不安」を漏らした理由スピン経済の歩き方(4/5 ページ)

» 2016年09月27日 07時55分 公開
[窪田順生ITmedia]

不正をすればするほど税金で手厚く保護される

 そんなの考えすぎだと思うかもしれないが、事実として日本の政治家というのは、不正をすればするほど税金で手厚く保護をされてきた。

 例えば、政党交付金が分かりやすい。これはご存じのように、我々の血税から政党に送られる300億円以上のプレゼントなのだが、これができたきっかけはリクルート事件だ。政治家があんまりカネに汚いという問題が出たので、じゃあ税金でたらふく食わせれば、政治に集中してくれるでしょ、となったのだ。

 こういう発想は民主主義国家ではかなり珍しい。そういうことを言うと、「日本よりも安いといわれるヨーロッパでも議員歳費をあげる動きがある」とか「手当や経費を含めるとアメリカの上院議員のほうがもらっている」なんて反論をする方もいるが、あちらの議員は基本的に、「ボランティア政治家」。他の収入もあれば、寄付も自分で集める。経費や手当もそれに見合う仕事に対して支払われる。日本のように会期中に席に座って後は支援者まわりをしていれば税金で生活が保障される「職業政治家」ではなく、経費も手当も「第二給料」みたいなノリでポンと渡してくれる国は少ない。

 ただ、共産主義ではわりとベーシックな発想だ。旧ソ連で議員は「人民代議員」と呼ばれ、税金でがっつり食わせてもらえる特権階級だった。

 代議員大会に2日間参加しただけで、国民の平均月収がポンと入る。

 ただ、あまりにも腐敗が過ぎるということで、ご存じのように「民主化」の動きとなった。普通に考えたら、欧州のように議員歳費の少ない「ボランティア政治家」が普及する。

 が、現実は逆だった。国民の生活が苦しい中で、なぜか政治家が歳費を上げるという現象が起こったのである。事実、「民主化」のかじ取りをしたロシア連邦初代大統領のエリツィン氏の給料は3.3倍に跳ね上がったという。

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