ボロボロになりながらも、引退しない松坂大輔の末路赤坂8丁目発 スポーツ246(3/4 ページ)

» 2016年10月05日 14時45分 公開
[臼北信行ITmedia]

松坂の日本復帰戦は「衝撃」

 ホークスだけではない。海の向こうでは古巣ボストン・レッドソックスの関係者たちの間でも、ボロボロに終わった松坂の日本復帰戦は「衝撃」として受け止められていた。現地でチームを取材しているビートライター(日本でいう番記者)の1人は、次のように打ち明けた。

 「チーム休養日の4日に本拠地フェンウェイ・パークを訪れ、ポストシーズンに向けてワークアウト(練習)を行ったデービッド・オルティスはその場にいた日本人スタッフから松坂の投球内容を詳しく聞き、首を横に振りながら絶句して言葉を失っていたそうだ。鳴り物入りでレッドソックスに移籍してきた松坂とは当時親交も深く、その姿をそばで見てきただけにショックも大きかったのだろう。

 しかもオルティスは今季限りで引退を表明していながら、そのラストイヤーで最多打点のタイトルを獲った。有終の美を飾った格好の自分と、落ちぶれても現役を続けている松坂を見比べながら心中複雑になっているようだ。松坂がレッドソックスにいたころを知るチーム関係者たちも一様に『何で彼はまだリタイアしないのか』と口をそろえている」

 これもかつて記事の中で触れたことだが、ボストンで“ハイソ”な生活を送る家族を支えるために、松坂は辞めるに辞められず、まだまだしがみ付いてでも単身赴任を続けなければならないと自分に言い聞かせているのかもしれない(関連記事)。

 いずれにしても、もし本当に松坂が来季も現役を続けるのであれば相当な覚悟が必要だろう。仮に来季も一軍の戦力となれず悲惨な結果に終わるとなると、その先に待ち受けているのは「栄光崩壊」だ。すなわち、今まで築き上げてきた「平成の怪物伝説」は音を立てて完全に崩れ去ることになる。

 かつて腰椎椎間板ヘルニアの影響で捕手復帰が不可能となり、阪神タイガースと1年残っていた契約を破棄して自ら引退した城島健司のような潔い引き際を選べば、世間からの反発もまだ沈静化させられるかもしれない。だが、松坂は己のプライドをかなぐり捨ててまで来季も現役続行の道を貫こうとしている。

松坂大輔の成績 (出典:NPB)

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