「ロイホ24時間営業廃止」の正しい読み方スピン経済の歩き方(4/5 ページ)

» 2016年11月22日 08時47分 公開
[窪田順生ITmedia]

ロイホの先見性は「サイエンス」に基づく

 海外の飲食店では、全席禁煙を実施したところ食事をする際に流れてくるタバコの煙を嫌う「新客」が訪れて、売り上げが落ちるどころか上がったという調査があり、事実、ロイヤルでも菊地唯夫社長(当時)が、2013年12月期の決算発表会で、「ロイヤルホスト全店で客席を禁煙とし、客数が増えた」(日本経済新聞 2014年2月15日)とおっしゃっている。

 日本では「タバコが周囲の人の健康被害を損なうなんてのは世界の常識だ」「日本は特別なんだ、そんなもん知るか! 喫煙の自由を奪うなんてヒトラーみたいなもんだ」という激しい論争がなされているが、外食経営の観点では「食事を楽しむ」ということを目的としたレストランでは、「全席禁煙」にしたほうがプラスに働くという結論が出ている。それにいち早く目をつけ、導入に踏み切ったのが、ロイヤルだったというわけだ。

 つまり、ロイヤルの先見性というのは、「時代を読む目」みたいな野生の勘のようなものではなく、あくまで調査や実験という客観的事実を分析した結果なのだ。

 「ファミレスの父」と呼ばれ、水商売と言われたレストランを「外食産業」にまで成長させたロイヤル創業者・江頭匡一氏はかつて、このように述べた。

 『食べ物とはカルチャー、産業はサイエンス。サイエンスの部分をいかに積み重ねていけるかで勝負は決まる』(日経ビジネス 1979年8月27日)

 そして、自分たちの店は「カルチャーが25%、サイエンスが75%」だと言い切った。それまでの、飲食業はどうしても店主の「こだわり」などの精神性が全面に出るため、「個人事業」の域をでなかった。それを江頭氏は、数字やデータに基づく科学的な経営によって、「産業」へと押し上げたのだ。そんな「サイエンス」に基づく江頭流経営を実践し、シズラーを見事に再生したフードサービスコンサルタントの梅谷羊次氏も『月刊飲食店経営』(2014年9月20日)でこのように述べている。

 『江頭氏の経営哲学は量を追わず「日本で一番質の高い飲食企業にする」である』

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