支持率4% フランス大統領も不人気のワケ世界を読み解くニュース・サロン(3/5 ページ)

» 2016年12月01日 07時35分 公開
[山田敏弘ITmedia]

なぜオランドの支持率は低いのか

 なぜオランドはここまで支持率が低いのか。そもそも社会主義者のオランドは、富を再分配し、機能不全に陥っている公共サービスを再建するなど、派手な公約で大統領に当選した。だが経済の立て直しは進まず、10%ほどの失業率(若者では20%を超える)も改善しない。貧困層を救い、インフレを改善するとの主張も進んでいないし、たび重なるテロで一時的に支持率は上げても、テロ対策は評価されていない。

 また、以前このコラムでも触れたが(関連記事)、社会党の大統領なのに、フランス南部の観光地であるカンヌに休暇のための別荘を3軒も所有していたり、毎月散髪に公費から1万1000ドルを支出していたりと、贅沢(ぜいたく)な生活を送っていることが明らかになっている。

 さらに、オランドは女性問題でもメディアを賑(にぎ)わしている。彼は、フランスの環境・エネルギー・海洋大臣で気候に関する国際関係担当を務めるセゴレーヌ・ロワイヤルとの間に以前、結婚はしていなかったが4人の子どもをもうけている。その後2人はパートナーの関係を解消している。オランドは2012年の大統領就任時に、フランスのパリマッチ誌で記者だったバレリー・トリルベレールとパートナーになっていたが、大統領の職にありながら“不倫”(浮気?)の末に女優のジュリー・ガイエに乗り換えて大きな話題になった。

 最近、米次期大統領に選ばれた資本主義の権化であるドナルド・トランプにも負けないくらい、女性関係が派手な社会主義者なのだ。

 もちろん政治家として何もしていないわけではなく、評価すべき点もある。労働法の改正などはその例で、高い失業率の原因とされ、「巨大な迷宮」と揶揄(やゆ)されてきたフランスの労働規制を緩和するための労働法改正法案をリーダーシップをもって推し進めてきた。

 そんなリーダーシップもそれ以外のマイナスポイントにかき消され、とにかく就任からこれまでずっと不人気だったと言える。ただそれでも、朴大統領級の大スキャンダルでもない限り、支持率が4%まで落ちることはそうないような気もするのだが……。

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