自分の「時価」 転職時に顧みること「やりたいこと」は何か(2/2 ページ)

» 2017年02月03日 07時47分 公開
[増沢隆太INSIGHT NOW!]
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 一方、人間関係問題等はどうしましょうか。残念ながらこれを見抜く方法は存在しません。キャリア決定には、必ず偶然が伴います。どれだけ事前に社員と会おうが、面接で聞こうが、「入ってみなきゃ分からない」のが人間関係です。大企業も零細も関係なく、職人や芸術家のように、たった1人だけで、すべての業務を完結できるキャリア以外では、必ず存在するリスクです。

 だから「人間関係が理由の転職」は良くない、勧めない、といわれるのでしょう。そこを改善できる保証は絶対にないからです。

 個別事由に加え、判断能力を向上させる存在もあります。それは良いキャリアアドバイザーの存在です。資格や職業としてのキャリアアドバイザーという意味ではなく、キャリアアドバイザー能力が優れている人が身近にいるだけで、判断時に大きな助けになります。

 ただ単に自分の体験談を語るのはキャリアアドバイザーではありません。就業環境や雇用状況、特にその業界独自の経営環境等に詳しく、なおかつロジックが組み立てられる人がいれば、誰でもキャリアアドバイザーとして頼りにできると考えます。

 さらにもう1つ。ぜひご自身の「時価」を考えていただきたいと思います。要するに今の仕事を離れたとして、自分がいくらなら雇ってもらえるのか、いくらなら稼ぎ出せるのか、ということです。

 ●●株式会社の部長だとしても、その肩書と企業名を外した場合、どれだけの時価になるのかは簡単です。ご自分がいくら稼げるかを計算すれば良いのです。

 そうなりますと営業職などは比較的計算しやすいですが、事務職や非営業系専門職は難しいでしょうか。

 それも含めて「時価」なのです。今の厳冬状態の雇用環境で、事務職、専門職を希望するのであれば、当然それがダイレクトに稼ぎに通じないことが理解できるでしょう。しかしそれでも事務であればコスト削減はどうでしょうか?

 無駄な出費削減もあれば、効果のなかった取組を見直した、3人のスタッフで取り組んだ業務を2人で回せるようになった、外注化によって専任スタッフ配属を避けられたなど、何でも良いのです。

 こうした稼ぎへの貢献が、どの程度アピールできるかどうか、ここをぜひ検証してください。転職活動ではそのまま自己アピールに使えます。

 それが見当たらないなら、今の雇用環境下では、転職というリスクは負わない方が良いのかもしれません。正解のないキャリア決定においては、自ら自分の時価を顧みる努力が、永遠に続くと言えます。(増沢隆太)

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