トヨタとスズキ提携 環境・安全など技術開発で協業協力のスタートラインに

» 2017年02月07日 12時31分 公開
[ITmedia]

 トヨタ自動車とスズキは2月6日、業務提携に向けた覚書を締結したと発表した。自動車業界で大きな変化が進む「環境技術」「安全技術」「情報技術」「商品・ユニット補完」などについて協業する。

photo 2016年10月の共同記者会見で握手するトヨタの豊田社長(左)とスズキの鈴木会長

 業務提携の検討開始を発表した2016年10月以降、両社が抱える課題を解決するため、公正・自由な競争を前提として協業が可能な分野について協議してきた。トヨタは、自動運転やエコカーなどの技術開発競争が加速する状況で、先進技術に関するルール作りなどを先導するために他社との連携を必要としている。スズキは、価格競争力の高い商品開発やインド市場に強みがあるが、先進技術の開発が課題。15年には、独フォルクスワーゲンとの資本業務提携を解消していた。

 今後、早期に業務提携を具体化するため、直ちに推進体制を立ち上げる。

 トヨタは豊田章男社長のコメントを公表。「『経営者である以上、チャレンジするということ、社会のために経営をするということは、いつまでたっても変わらない』。昨年10月の共同記者会見での鈴木修会長の言葉が心に響いた。これこそが『やらまいか』の精神だと感じた。遠州をルーツとする両社が『やらまいか』の精神を発揮し、世界中のあらゆる人が移動の楽しさを実感し、笑顔になれる『未来のモビリティー社会』の実現に向けて協力していきたい。今回、スズキというチャレンジ精神あふれる会社と一緒に仕事をする機会をいただいたことに感謝している。多くのことを学ばせていただきたい」。

 トヨタは2月6日の決算会見で、早川茂取締役・専務役員がスズキとの提携に言及した。「社会課題の解決、自動車社会の健全な発展に向けた提携にしたいと協議を進めてきた。多方面にわたる技術提携に取り組むトヨタとしては、仲間作り、ルール作りが従来以上に必要と考えている。スズキのスピード感のある仕事の進め方から学ぶ点がたくさんある」と語った。資本提携については、「ゆっくり考えていきたい」という言及にとどめた。

 スズキの鈴木修会長は、「将来技術の開発に懸念を抱えるスズキから求めた提携関係について、豊田社長の指導の下、トヨタは熱意をもって協議に応じてくれた。心から感謝したい。トヨタが示してくれた熱意に応えるべく、スズキも全力で協議に臨み、具体的な協力関係を築くスタート地点に立つことができた。全力で取り組んでまいりたい。スズキと提携したことを良かったと思っていただけるような結果を目指したい」とコメントした。

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