すでに書いた通り、海外メディアは日本の歴代首相夫人が「控えめで出たがらない」と書くが、それは首相夫人として当然のことなのだ。
日本のように、海外メディアで国内政策について語っても、ファーストレディとして飲み屋を開店しても問題視されない国では、ファーストレディが際限なく好き放題に動くと、夫である首相とその首相が党首として率いる巨大組織である党にも、大きな打撃を与えることになってしまいかねない。もっと言うと、日本という国のイメージを悪くすることだってある。そうなると本末転倒である。
あくまで、ファーストレディは「首相の夫人」である。ファーストレディは選挙で選ばれたわけではないし、国民は信任もしていない。歴代夫人は「控えめ」だったのではなく、自分の役割に徹していただけだ。
ただ騒動になってしまった事実は変えられない。あとは、彼女がファーストレディとして、税金が費やされているこの騒動をどう鎮めるのか注目したい。
山田敏弘
ノンフィクション作家・ジャーナリスト。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト研究員を経てフリーに。
国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)がある。
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