鉄道ファンの支持を集める「京浜急行」の秘密強みは「独自性」(3/3 ページ)

» 2017年04月24日 08時00分 公開
[小林拓矢ITmedia]
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強いアイデンティティの象徴「赤」

 京浜急行といえば、赤い色の車両を思い浮かべる人も多いだろう。最近では「KEIKYU BLUE SKY TRAIN」「KEIKYU YELLOW HAPPY TRAIN」のようなものもあるが、原則的に赤である。

KEIKYU BLUE SKY TRAIN(出典:京浜急行)

 最近のステンレス車両では地の色を見せ、赤い帯で済ませているものもあるが、それでも先頭部までもステンレスの地をむき出しにしたりはしない。

 鮮やかな赤は、ひと目で京浜急行と分かる、アイデンティティの中核である。

 色を他のものと変えることで、強い差別化を示し、そのもの自体のアイデンティティを強く誇示するということは、他でも見られる。東京の一部の駅で販売されている新聞の中に、サーモンピンクの新聞を見たことがある人もいるだろう。あれは『フィナンシャル・タイムズ』という英国経済紙のアジア版である。本国でももちろん、サーモン・ピンクの紙を使っている。他紙との差別化を図るために、あの色を使っているのだ。いまは日本経済新聞社の傘下にあるものの、紙の色は変えていない。

 もちろん、紙面は世界中から高く評価されている。

 京浜急行も、それと同じことなのだ。安全性や走りが高く評価され、そのほかとの違いを示すため、ブランドとしてのアイデンティティを示すために「赤」を使っている。

 京浜急行は、今後もスタイルを変えないだろう。その「変えない」ことが、支持の源となっている。

 支持されるような確固たるアイデンティティを持つ。難しく、場合によっては非難されるようなことでもあるが、支持を集めた場合には、強烈な支持となりうるだろう。京浜急行は、そんな支持を集めているのだ。

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