ひょっとしたら、白鵬は「悪役」を演じているのかもしれない赤坂8丁目発 スポーツ246(4/4 ページ)

» 2017年06月01日 14時23分 公開
[臼北信行ITmedia]
前のページへ 1|2|3|4       

モンゴル国籍にこだわる理由

 最後に、白鵬がモンゴル国籍にこだわる理由について補足しておきたい。自身が「日本とモンゴルの架け橋になりたい」と述べているように、母国の有能な金の卵たちが将来的な帰化に抵抗を覚えて、日本の大相撲界に来たがらなくなってしまうような流れを防ぎたいとする考えを持っているからである。

 一時期は余りにも勝ち過ぎてモチベーションを失いかけた。それでも今は魁皇の持つ歴代最多の通算1047勝を抜くことと、前人未到の40回V達成がダブル目標となっている。現在の通算勝利数は1036となっているだけに次の名古屋場所で12勝すれば記録更新だ。優勝回数に関してもあと2回で大台に到達する。

 まだまだ強い向上心と情熱を失っていない白鵬は稀勢の里、高安ら人気者の日本人力士たちの台頭を喜ぶ半面、嫌われることも覚悟の上で彼らの高い壁として今後も立ちはだかり続けようとしている。もしかすると強過ぎて小憎たらしい「ヒール」と見られがちなのも、角界を盛り上げるために白鵬自身があえて織り込み済みでそういう姿に徹しているからなのかもしれない。

臼北信行(うすきた・のぶゆき)氏のプロフィール:

 国内プロ野球、メジャーリーグを中心に取材活動を続けているスポーツライター。セ・パ各12球団の主力選手や米国で活躍するメジャーリーガーにこれまで何度も「体当たり」でコメントを引き出し、独自ネタを収集することをモットーとしている。

 野球以外にもサッカーや格闘技、アマチュアスポーツを含めさまざまなジャンルのスポーツ取材歴があり、WBC(2006年第1回から2017年第4回まで全大会)やサッカーW杯(1998年フランス、2002年日韓共催、2006年ドイツ、2010年南アフリカ、2016年ブラジル)、五輪(2004年アテネ、2008年北京、2017年リオ)など数々の国際大会の取材現場へも頻繁に足を運んでいる。


前のページへ 1|2|3|4       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.