40歳を超えても、イチローと上原がメジャーで活躍できるワケ赤坂8丁目発 スポーツ246(3/4 ページ)

» 2017年07月08日 09時25分 公開
[臼北信行ITmedia]

上原を取材するメディアは少ない

 そして上原だ。今季でメジャー9年目。巨人時代を含めれば現役生活19年目になる。今季からプレーするカブスは自身にとってメジャー4球団目となった。

 上原は言うまでもなく元巨人の大エースだが、今となってはかつてYGユニホームを着ていたことが信じられないくらいにメジャーリーガーとしての印象のほうが明らかに強くなった。ボストン・レッドソックスでは2013年にクローザーとしてチームをワールドシリーズ制覇へ導き、栄光のチャンピオンリングも手にしている。

 あれから4年後の今。42歳を迎えても上原は前年世界一のカブスから年俸600万ドル(約6億8000万円)のオファーを受け、セットアッパーとして活躍を続けている。

 160キロ台を普通に投げる速球派投手が主流のメジャーにおいて上原は130キロ台後半のフォーシーム(直球)でも面白いように打者を手玉に取る。捕手の構えたミットに寸分の狂いもなく投げ込む抜群の制球力を誇ることに加え、対戦した多くの打者が球の出どころを判別し辛いと嘆く独特なフォームが生命線だ。

 これらの武器をしっかりと維持し続け、マウンドでは終盤の厳しい場面に直面しても表情ひとつ変えずにメジャーの強打者たちを精密機械のごとくキッチリと抑える姿には本当に敬服する。

 人の見えないところで今も自分を追い込み、コンディションをしっかりと整え続けているのだろう。そうでなければあのような素晴らしい活躍はできない。

 そして何より、上原を賞賛したいのはここまでの輝かしい経歴もさることながら40歳を過ぎても異国の地でスポットライトが浴びにくいながら黙々と結果を出し続けている点だ。カブスは間違いなくメジャーリーグの中でもトップクラスのチームだが、ここに在籍していても上原を取材する日本人メディアの数は決して多くはない。

上原投手はセットアッパーとして活躍する(出典:シカゴ・カブスのFacebookページ)

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