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「営業」の仕事はAIでどう変わるのか営業部 AI課(3/5 ページ)

» 2017年07月10日 11時00分 公開
[加谷珪一ITmedia]

できるセールスパーソンの定義が変わる

 第1段階で問題となってくるのが、セールスパーソンの業績評価である。これまでは単純に営業成績のみで評価が決まっていたが、AIが導入されると結果的にセールスパーソンごとの差が縮まってくる。AI時代には、営業成績そのものに加え、AIの学習に対してどれだけ貢献できたのか(どれだけAIに有効な学習データを提供できたか)が重要な評価指標となってくるだろう。

 その意味では、セールスパーソンの定義についても少々見直しが必要かもしれない。これまでは、生まれ持った才能によって高い営業成績を出していた人も、論理的に工夫を重ねることで成績を向上させた人も同じ評価であった。しかし、今後はこのあたりにも変化の波が押し寄せる可能性が高い。

 AI時代には、感覚で数字を稼ぐ天才肌のセールスパーソンよりも、自身の成績について論理的に理解し、かつ、それを人に説明できるセールスパーソンの方が評価が高くなるだろう。なぜなら、AIの学習結果をもとにAIがセールスパーソンを指導するといっても、機械にはやはり限界があるからである。

 成績が振るわないセールスパーソンに対し、モチベーションを高めさせながらAIのアドバイスを受け入れるよう実際に指導するのは人間の役割になる。こうした仕事ができる人でなければ、AI時代において高い評価を得るのは難しくなるはずだ。

 第1段階までは全員にメリットがあるので、AIの普及は良いことずくめかもしれない。だが、AIの普及が第2段階に入ると、状況は大きく転換する可能性が高い。いよいよ人員削減という話が本格化し始めるからである。

photo AIのアドバイスを受け入れるよう実際に指導するのは人間の役割

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