市場低迷なのに……お豆のフジッコのゼリーはなぜ売れる?後発メーカーの戦略(1/4 ページ)

» 2017年07月11日 07時00分 公開
[伏見学ITmedia]
フジッコのゼリー商品「フルーツセラピー」。2002年に新規参入した後発だが…… フジッコのゼリー商品「フルーツセラピー」。2002年に新規参入した後発だが……

 今年も暑い夏がやってきた。アイスクリームとともに、この季節に食べたくなる冷たいデザートと言えばゼリーではないだろうか。

 実際、ゼリーは5〜7月に売り上げが一気に伸びるという。お中元でゼリーの詰め合わせを贈る人もいるはず。まさに今が書き入れ時なのだ。

 そんなゼリーではあるが、市場自体は冷え込んでいる。リサーチ会社のマクロミルの調査データによると、2012〜16年の過去5年間で販売額は8%減少。主な原因は消費者の選択肢が増えたことにあるという。

 かつて日常的なデザートはゼリーやプリンくらいしかなかったが、今ではケーキ、シュークリームといった洋生菓子や和菓子などのスイーツがコンビニで手軽に買えるようになった。また、健康志向を追い風にヨーグルトも大きく成長している。その結果、スーパーマーケットやコンビニエンスストアの商品棚の占有率がほかのデザートに奪われて、ゼリーはどんどん端っこに追いやられているのである。

 このように市場が低迷する中において、気を吐くのがフジッコだ。同社のゼリー商品「フルーツセラピー」シリーズは好調で、12年から16年にかけて売上高は128%伸長した。17年3月期決算を見ても、このゼリー商品がメインのデザート事業は31億7700万円(前期比5.9%増)となっている。

 「え、フジッコ?」と驚いた人もいるだろう。「フジッコのお豆さん」というCMのフレーズに代表されるように、同社は豆と昆布を主力製品とする会社として名が通っているからだ。そもそもゼリーを製造していることを知らない人も多いだろう。

 フジッコは従前のビジネス課題を解決しようとゼリー市場に新規参入した。15年前のことである。なぜ同社はゼリーを作るようになったのか? そして、苦戦する競合を尻目に売れている理由とは?

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