“肌の悩み”をなくしたい 花王ベテラン研究員の挑戦敏感肌向け「キュレル」(1/3 ページ)

» 2017年07月27日 07時00分 公開
[加納由希絵ITmedia]

 “肌の悩み”を抱える人は、老若男女を問わずたくさんいる。肌荒れなどのトラブルを起こしやすい乾燥性敏感肌向けのスキンケア商品「キュレル」シリーズは、その悩みに寄り添う商品展開で支持を獲得してきた。花王のスキンケア研究所でその研究開発を担っている高橋昭彦さんは、肌トラブルの苦しみを少しでも緩和しようと、スキンケア研究に向き合い続けている。

photo 開発に4年かかった「キュレル 潤浸保湿フェイスクリーム」

じわじわとブランド成長

 花王の肌研究の起点は1970年代。家事による手荒れに悩む主婦が増え、社会問題になった。食器用洗剤を製造、販売する企業として、「なぜ肌が荒れるのか」を研究していくきっかけの1つになった。

 85年に、皮膚の角層内にある物質「セラミド」が保湿機能を持つことを発見。乾燥など、外からの刺激から肌を守るバリア機能が低下している状態を「乾燥性敏感肌」と定義し、皮膚にあるセラミドの働きを補う方法を研究した。そして、化学合成によるセラミド機能成分の開発に成功。この成分を配合した商品が、99年に発売したキュレルだ。

 キュレルシリーズは、洗顔料やボディーウォッシュ、シャンプー、入浴剤、ローション、クリームなどに展開し、商品数は60以上。発売以降、じわじわと成長してきたブランドだ。近年は、敏感肌に対する消費者の意識の高まりに応じて市場が拡大。キュレルシリーズの売上高の増加率は、2012年から5年連続で前年比2桁を維持しており、16年は国内で23%増加した。

スキンケア研究生活26年

 高橋さんは1991年に研究職として入社。化粧品ブランド「ソフィーナ」を担当後、98年からキュレルの商品開発に携わってきた。スキンケア研究26年のベテランだ。

 担当したキュレルブランドの商品は、入浴剤やローション、クリーム、化粧水など、約10商品。1つ1つ、長い時間をかけて商品化している。セラミド機能成分は他の成分と混ざりにくいため、量や混ぜ方などを1つ1つ試す必要があるからだ。1商品につき、何百種類もの処方を作ることも珍しくない。原料を混ぜる際には、人の目で状態を確認しながら、温度や時間まで細かく調整していく。

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