だから、総合格闘技「RIZIN」の視聴率は低迷した赤坂8丁目発 スポーツ246(2/4 ページ)

» 2017年08月04日 07時46分 公開
[臼北信行ITmedia]

一体どちらが主役なのか

 しかし、それもここまでを見る限り、かなり困難な道と言わざるを得ない。個人的な感想から言わせてもらうと、フジテレビの番組構成は相変わらず残念だった。今大会の目玉はタレント、野沢直子さんの長女である米国籍の真珠・野沢オークライヤー選手。番組内ではオンエア直後から真珠選手が「野沢直子の実の娘」というところばかりクローズアップして、“煽りV”でもしつこいくらいに繰り返し放送していた。

 真珠選手は23歳。まだまだMMA歴が浅く、試合運びも荒削りなところが多い点は否めない。しかしながら米国内でMMAデビューを果たし、RIZIN初参戦となった今大会でも相手は、明らかなアンダードッグ(引き立て役として対戦させる弱い相手のこと)ながら圧勝。ルックスもいい上にハートの強さも申し分なく、これから周囲の期待通りに成長していけばスターになる可能性は十分にある。とはいえ、それも「色物」や「客寄せパンダ」として扱われないことが大前提だ。

 真珠選手の来歴は視聴者を引き付ける要素として大きな効果があった。事実、今大会中継で最も多く瞬間最高視聴率を取った試合は真珠選手の7.6%。だが、放送当日の番組内での演出に関しては過剰だった感が否めない。先にも触れた試合前の“煽りV”では野沢直子さんの昔の映像がふんだんに盛り込まれ、一体どちらが主役なのか分からなくなりそうな構成になっていた。

 ここのところボクシングを含めて民放局が放送する格闘技中継の番組構成には批判が多く、実際に今大会のRIZINもネット上で多くのユーザーから「煽りVが長いから見る気がなくなる」「無駄なエピソードが多過ぎ」などと批判さられていた。

 ついでに言えば、キックボクシング界の怪童、那須川天心とミックス・ルールで戦い、KO負けを喫した才賀紀左衛門の試合も気になった。才賀の妻でタレントのあびる優さんがリングサイドに座り「キャーッ」と奇声を上げるのは、ある意味でRIZINの“風物詩”。今大会は愛妻が叫ぶ前にダンナは1Rでリング上に大の字となってしまったが、才賀の試合中もずっとフジテレビのカメラがあびるさんを画面端に映し出し続けていたことでネット上には「まるでバラエティ番組」「試合に集中できない」などといったブーイングが散見できた。

視聴率が最もよかったのは、野沢直子さんの娘、真珠選手が試合をしたとき(出典:フジテレビ)

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