スマホで買って後払い「atone」 開発の狙いとはリアル店舗も視野に(2/3 ページ)

» 2017年08月08日 08時00分 公開
[加納由希絵ITmedia]

口座振替も年度内に利用可能に

 ――atoneの仕組みについて。NP後払いと異なる特徴は何ですか。

 NP後払いの3つの課題を解消できます。まず、1カ月分をまとめて請求するため、1取引ごとに請求書を送付するNP後払いと比べて請求コストを下げられます。

 また、会員登録なしで利用できるNP後払いは、商品を届けた後でその住所に請求書を送るという仕組みなので、取引の対象は物販に限られます。atoneでは、口座振替など、請求書によるコンビニ支払い以外の方法を追加していけば、住所情報が不要になります。そのため、音楽や電子チケットなどのデジタルコンテンツにも市場を広げることができます。

 最後に、リスク管理がしやすいという特徴があります。ユーザーごとに携帯電話番号による会員登録が必須となるため、これまでよりも多くの情報を収集できるようになり、リスクがある高額商品などの決済にも導入しやすくなります。家電やブランド品などの決済にも参入を目指しています。

 効率化を図れて、リスクも下げやすいことから、加盟店の1件当たりの手数料は決済料率1.9%+30円からと、抑えることができました。

 ――ユーザーにとっても使い勝手の良い仕組みになっていますか。

 「今月、いくら使ったか」という情報をスマホで常に確認できるため、安心感があります。購入するとすぐに明細が通知されるようにもなっていて、使い過ぎの防止をサポートします。買い物に使えるポイントをためることもできます。年会費などはなく、利用した月のみ、請求書代金として90円が必要になります。

photo 「atone」を使った決済の流れ

 ――今後、サービスをどのように発展させていく計画でしょうか。

 まずは、使える場所と利用者を増やしていきます。そのために、使い勝手の良いサービスを実装していく計画です。現金支払いだけでなく、口座振替も17年度中に利用できるようになります。また、利用上限金額は月5万円(税込、口座振替登録すると10万円)ですが、それも引き上げていきます。仮想通貨などの利用も視野に入れています。

 導入店舗の拡大については、NP後払いの加盟店はもちろんですが、コストや運用の面でNP後払いの導入を見送っていた店舗に対しても、atoneでその課題をクリアできることを伝えていきます。

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