ソフトバンクグループが8月7日発表した2018年3月期 第1四半期(17年4〜6月)の連結決算は、売上高が前年同期比3%増の2兆1861億円、営業利益が50%増の4973億円と好調だったが、純利益は98%減の55億円だった。中国Alibaba株のデリバティブ取引に関連して2571億円の損失を計上したことが響いた。
同社はAlibaba株を、現金を先に受け取る形式のデリバティブ取引によって前年同期に売却している。売買が完全に成立するのは19年だが、その間に売却時よりもAlibaba株が上がれば「得られたはずの利益を失った」として、会計上は損失を計上する仕組みとなっている。
孫正義社長は「評価損を計上した分は、2年後に評価益として繰り戻されるため問題はない。財務諸表上では大きな損失をしているように見えるが、実際には“貯金”をしていると捉えてほしい」と解説した。
セグメント別では、今期から連結対象となった、サウジアラビアの政府系ファンドなどが出資する10兆円規模のファンド「SoftBank Vision Fund」の営業利益が1052億円に上った。
同ファンドは今年、ワークスペース事業の米Weworkと共同出資し、日本法人のWeWork Japanを立ち上げるなど、積極的な投資活動を展開。7月には掃除ロボット「ルンバ」開発元の米iRobotや、チャットツール開発の米Slackへの出資も報じられている。
孫社長は「『ソフトバンクはなぜ不動産事業や配車事業に投資をするのか』と疑問を持つ人が多いと聞く。しかし、ITの進化によって建物や車をシェアできる時代になっており、当社では大きなビジネスチャンスだと考えて投資を行っている」と強調。
投資・買収した企業に対するスタンスとしては、「日本の財閥系企業は、買収した企業を財閥のブランドに統一する傾向にあるが、当社は投資した企業をソフトバンクブランドに染めるつもりはない。ソフトバンクグループは伸び盛りの会社が集合して、成長したら卒業していく自由な企業集団を目指したい」と話した。
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