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» 2017年08月29日 08時00分 公開

スピン経済の歩き方:だから、なんども「炎上CM」がつくられていく (2/6)

[窪田順生,ITmedia]

「炎上CM」が改善されなかった理由

 その後も、この手の批判にさらされるCMはたびたび世間を騒がしてきた。そのたびに、海外では公共の目に触れる広告では、女性を物のように扱うことなど、性差別をしないという業界内ルールがあるから、日本もそうすべきだともっともらしい意見が出るのが、喉元過ぎればなんとやらで、ウヤムヤにされしばらくすると同じ騒動が起きる、ということの繰り返しだった。

 つまり、最近やたらと目につく「炎上CM」というものは、SNSやネットPR動画という目新しいツールによるものなので、なにやら今の時代特有のものかと思われがちだが、なんのことはない40年以上前から続いている「日本の広告はジェンダーにうとい」という問題の「最新バージョン」に過ぎないのである。

 ここで、ひとつ疑問が浮かぶのではないだろうか。

 「炎上CM」が40年以上前から続く問題だというのなら、なぜなかなか改善できなかったのか。「私、つくる人 僕、食べる人」騒動の時代からこれだけ多くの批判にさらされているのだから、「いくらPVが欲しいからって、セクシー美女に亀の頭をなでなでさせるような描写をやめましょうね」というコンセンスが、広告やPRに携わる人たちの間にあってもおかしくないが、ああゆう動画が出たように特にそういう「縛り」はない。

 なぜ日本の広告は「ジェンダー表現」を改善できないのか。個人的には日本の広告業界、さらには映像業界などメディアに携わる人々の組織が基本的に「男社会」であることが大きいと思っている。

 例えば、大手広告代理店・電通の場合、2015年12月末で男性従業員が5184人に対して、女性従業員は2077人と28%しかいない。この傾向は「上」に行けば行くほど顕著となり、マネジメント職になると、男性1574人に対して、女性は139人と8%になる。相談役、顧問、執行役員となると34人の全員が男性だ。(電通統合レポート2016 より)

 まるで電通を批判しているように聞こえるかもしれないが、これはなにも特別なことではなく、電通のクライアントである大企業もまったく変わらない。

 東京商工リサーチによると、2017年3月に決算を行った上場企業2430社の役員の総数は2万8465人。このうち女性役員は957人で全体のわずか3.3%に過ぎない。

 また、2015年に国際労働機関(ILO)が発表した「Women in Business and Management: Gaining momentum」によると、日本の女性管理職比率は11.1%で、108の国のうちのなかで97番目となっている。

「炎上CM」が続く背景に、男社会であることが大きいのか(写真はイメージです)

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