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» 2017年08月29日 08時00分 公開

スピン経済の歩き方:だから、なんども「炎上CM」がつくられていく (5/6)

[窪田順生,ITmedia]

日本のCAの「女性しかいない問題」

 CMやPR動画なんて作り手の自由な発想があってこそなんだから、そんなイチャモンをつけるのは止めろというお叱りもあるかもしれない。だが、社会的に影響力のあるテレビなどの映像作品には、やはりそれなりの責任もあるのではと思う。

 例えば、海外を旅した人は気付くだろうが、海外の航空会社では男性のキャビンアテンンダント(以下、CA)も珍しくない。テロや乗客トラブルの安全管理面でも、男性のキャビンアテンダントがいたほうがいいというのは合理的な考えだ。実際、エールフランスのキャビンアテンダントは3人に1人は男性だ。

 しかし、日本の航空会社の男性比率わずか数%で、女性が圧倒的に多い。日本ではなぜかCAは「女性の仕事」と目されているのだ。

 これはなぜかというと、メディアが繰り返しそのようなイメージを触れ回ったからだ。

 分かりやすいのが、1983年に平均視聴率20%と社会現象にまでなったドラマ『スチュワーデス物語』である。大映ドラマらしいドラマチックな展開に魅せられや子どものたちに「CA=女性の仕事」という概念が一気に刷り込まれた。

 同じ年、エールフランスに日本人女性が24人採用された。当時は海外旅行ブームで、日本人の団体ツアーがこぞって欧州へ押し寄せていた。「爆買」の対応で日本の百貨店などが中国人スタッフを雇ったのとまったく同じ構造だが、なぜか日本では赤面するような「勘違い」がふれまわられていた。『「気くばり」は世界一 日本人スチュワーデス』(読売新聞1983年7月11日)

 採用された24人のうちCA経験があるのはわずか2人のみで、「世界一のスチュワーデス」もへったくれもないが、なぜこういう「勘違い」が横行するのかというと、当時の「おじさん社会」で女性といえば、「お茶汲み係」であって、「日本女性=きめ細かいサービスで客をもてなす者」というガチガチの役割分担がされていたからだ。

 こういう社会全体のイメージ付けが、日本のCAの「女性しかいない問題」に大きな影を落としている、というのは容易に想像できよう。

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