会見での主な質疑応答は以下の通り。
――1年間にわたって日本でのビジネスを展開してきたが、どのような手応えを得ているのか。
ラシュトンCEO: われわれのビジネスは好調に推移している。正確な数字は開示できないが、この1年間で会員数は100万件を突破した。
――これまでのビジネスで苦労した点は。
ラシュトンCEO: 参入当初、視聴者の間でDAZNは“スマホやタブレットで視聴するサービス”との印象が強かった。サッカーファンからは、競合の「『スカイパーフェクTV!(スカパー)』ではテレビで中継が見られるのに、なぜDAZNはテレビに未対応なのか」などの意見が相次いで寄せられていた。
対応策として、ソニー、シャープ、パナソニック、韓国LG Electronicsのテレビなど、視聴できる受像機を続々と拡充。テレビでも見られるサービスであることを世間にアピールした。今後もテレビCMなどによってテレビでの視聴を訴求していく。
――メイウェザーとマクレガーの試合を放送したことで、どの程度会員が増えたのか。
ラシュトンCEO: 代理店との契約の関係上、具体的な数字は言えないが、企画は成功したと考えている。単発のイベントを放映するのは初の試みで、実験的な意味もあったが、うまくいった。今後も単発のイベントの放送を続けていきたい。
試合では、総合格闘家の宇野薫選手と芸人の千原ジュニアさんに解説を依頼したほか、ボクサーの村田諒太選手にSNS上でのサポートをしてもらった。今後も、ビジネス上でカギとなるスポーツを放映する際は日本人の解説者を起用していきたい。
――メイウェザーとマクレガーの試合のほか、英サッカーリーグ「プレミアリーグ」の放映権も買い取った。莫大な投資を行っていると考えられるが、投資額の回収に向けて料金の値上げを行う予定はあるのか。
ラシュトンCEO: 値上げを行う予定はない。価格を変更するくらいなら投資を控える。ユーザーに手頃な価格で番組を提供することが当社のポリシーだ。
――日本は、欧米などと比較してスポーツファンが少ないのではないか。こうした状況下で、今後さらに会員数を伸ばすことができるのか。
DAZN日本法人 中村俊社長: 日本のスポーツ市場は決して小さくない。サッカーだけでも、日本代表チームのファンは3000万人、Jリーグのファンは1000万人存在する。プロ野球のファンも2000万人存在する。
ラシュトンCEO: DAZNが今後取り組むことは非常にシンプル。安い値段でストリーミングサービスを提供し、ファンのスポーツに対する情熱を盛り上げることだ。今後全てのファンを獲得するのは難しいかもしれないが、“伸びしろ”はあると考えている。スポーツファンとの草の根レベルの交流も行っていきたい。
――日本放送協会(NHK)などのテレビ局が、スポーツのネット中継を開始する動きが出てきている。強力な競合が増えることが予想されるが、ビジネス戦略に影響はあるのか。
ラシュトンCEO: 当社は、さまざまな競技の独占放映権を有している。大手テレビ局が参入したとしても、われわれのコンテンツは権利面で守られているため、戦略に大きな影響はない。プレイヤーが増えることは業界としては素晴らしいことだ。
――今後、新たなスポーツやリーグの中継に対応し、コンテンツを拡充する予定はあるのか。
ラシュトンCEO: 検討を進めている事項があり、数週間以内に大きな発表をする予定だ。
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