9階建ても登場 都心で多層階の家を仕掛けるパナホームその狙いは?(3/4 ページ)

» 2017年08月31日 06時00分 公開
[大河原克行ITmedia]

独自技術で3階の空間は4割拡大

 そうした3階建て住宅が持つ課題を解決することを狙って、パナホームが7月20日に発売した新たな3階建て住宅が「Vieuno(ビューノ)3E」だ。

 Eには、ZEHを実現するEnergy、パナソニック製エレベーターを標準搭載したElevator、3階まで広い空間を確保するExtra-Floorの意味を持たせ、3階建て住宅に新たな提案をする商品となっている。

 1つは、新たに2.5寸〜12.5寸の異勾配屋根を開発。これにより斜線制限をクリアしながら、3階部分には勾配屋根を生かし、天井高最大3.1メートルという空間の広がりを演出できる。

 「眺望や日当たりの良い3階リビングを実現し、2、3階部分を吹き抜けでつなぐプランでは、二世帯が家族の気配を感じながら、ほどよい距離感を保つことも可能になる。これらの空間対応力の強化により、3階空間の価値を、最大限に高めた暮らしを提案できる」(梅山氏)

 これまで住宅メーカーが提案する3階建て住宅は、セットバックと呼ばれる箱を重ねたような方式を採用することが多かったが、これでは無駄な空間が発生し、3階部分に居住スペースを確保することが難しかった。Vieuno3Eでは、業界最小となる15センチメートルきざみで設計できるマルチモジュールシステムを採用。勾配屋根との組み合わせで、セットバック方式に比べて、3階の空間は約40%拡大することが可能だという。

 また、高層ビルや大型構造物で使われる「座屈拘束技術」を初めて3階建住宅に採用。住宅性能表示最高の構造等級「3-3-2」を標準仕様としており、「全邸名個別構造設計により、最高構造等級を実現できる」と梅山氏は意気込む。3-3-2とは、倒壊防止では建築基準法の1.50倍とする耐震等級3、損傷防止では同1.50倍をクリアする耐震等級3、耐風では建築基準法の1.20倍となる耐風等級2と、いずれも最高構造等級を、すべての受注案件で実現しているという。

Vieuno3Eの基本構造 Vieuno3Eの基本構造

 さらに、独自の軽量鉄骨を利用することで重機を使用しない手組み上棟を可能にしており、鉄骨組み立て用のクレーンが入らない狭い道路沿いの建築案件でも、3階建て住宅の建築を可能にしている。

 そして、Vieuno3Eでは、フラット屋根よりも、勾配屋根の方がパネルの搭載効率が高いという特徴を活用し、太陽光発電システムの搭載量を向上。さらに、庇(ひさし)を伸ばし、搭載するパネルの枚数を増加させることでZEHを実現できる提案も行う。

 「フラット屋根では、11枚の太陽光発電パネルを搭載し、2.67KWにとどまっていたものが、勾配屋根では18枚の太陽光発電パネルが搭載でき、1.6倍となる4.37KWに拡大できる。だが、これではZEHは実現できない。そこで、庇を45センチ伸ばすことにより、24枚の太陽光発電パネルを搭載し、5.83KWを発電できるようにした。フラット屋根に比べて2.1倍の発電量を確保でき、ZEHが実現できる」(梅山氏)

 Vieuno3Eは、第2種高度斜線に対応した「東京都向け」が、エレベーター、太陽光発電パネル、蓄電池を含めて、5300万円(税込)。勾配屋根が緩やかで、3階空間をさらに広く取り、28枚までの太陽光発電パネルを搭載することで、6.80KWまでの発電が可能な「全販売エリア向け」が6200万円(同)となっている。

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