12万枚突破 JR北海道「わがまちご当地入場券」の懸念杉山淳一の「週刊鉄道経済」(2/5 ページ)

» 2017年09月15日 07時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]

「わがまちご当地入場券」とは

 JR北海道が販売する、わがまちご当地入場券は、17年4月に発表された。JR北海道の駅がある自治体ごとに1つの駅を選定し、専用にデザインされた入場券だ。対象となる自治体は北海道内100市町村、青森県1町。青森県の1町にあるのは、北海道新幹線の奥津軽いまべつ駅だ。

 入場券の表面は駅付近の鉄道風景写真、裏面は自治体の基本情報、観光地情報、ご当地グルメや特産品の画像などの素材を自治体側が用意する。自治体の負担は素材作成まで。入場券の作成経費はJR北海道が負担する。基本的に売上金の分配はない。

 販売方法は、有人駅については駅の切符売り場で、無人駅は駅付近の施設や商店での委託販売となる。委託販売の場合は販売手数料として手当がある。実はここに問題があり、後に述べる。

 JR北海道の呼び掛けに対して、対象となる自治体全ての参加が決まり、7月20日にまず81駅の販売が始まった。その後、準備が整った駅から追加され、現在は99駅で販売されている。額面は170円、12万枚も発行して2040万円の売り上げとなっている。同社が必要とする資金に対しては焼け石に水の感もある、とはいえ、こういうアイデアでコツコツと稼いでいくという努力は、どんな企業にも必要だ。

 JR北海道としても、単なる旅行記念というだけではなく、コレクターへの販売を視野に入れている。専用コレクションファイルを通信販売するほか、わがまちご当地入場券には応募券がついており、10駅分を集めて送ると「列車カード」がもらえる。列車カードは普通列車、快速列車、急行列車、特急列車の4種類で、10枚ごとにステップアップ、つまり40枚買うと列車カードをコンプリートできる。自治体からの協賛もあり、18年3月末日までの応募者を対象に、抽選で特産品が当たる。

photo コレクター心をくすぐる仕掛けも用意されている(出典:JR北海道公式Webサイト

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