わがまちご当地入場券の売れ行き好調が伝えられ、純粋に楽しんでいるコレクターも多い。この企画は大成功しているように見える。しかし、販売の現場では新たな不満がくすぶりかねない。JR北海道は、ようやく商売っ気を出して頑張り始めた。しかし詰めが甘い。顧客(乗客)はもちろん、取引先に対しても、もっと気を配った方がいい。
北海道新聞が7月に実施した自治体向けのアンケートで、35の市町村が路線廃止や地元負担を求めるJR北海道の姿勢を「容認できない」と回答した。16年11月のアンケートでは23市町村だった。沿線自治体にはJR北海道への反発、不信感が広がっている。
それでも、JR北海道が打診した101の自治体は全てわがまちご当地入場券の趣旨に賛同した。それはなぜか。路線廃止、駅の廃止をちらつかせるJR北海道に対して、自治体は鉄道を残してほしい、協力できることは対応したい、という態度を見せたいからだろう。鉄道の存続について、自治体は弱い立場にある。反発や不信感を飲み込んで、淡い期待を抱く自治体の気持ちを、JR北海道は理解できているだろうか。
乗り鉄。書き鉄。1967年東京都生まれ。年齢=鉄道趣味歴。信州大学経済学部卒。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。出版社アスキーにてPC雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年よりフリーライター。IT・ゲーム系ライターを経て、現在は鉄道分野で活動。鉄旅オブザイヤー選考委員。著書に『(ゲームソフト)A列車で行こうシリーズ公式ガイドブック(KADOKAWA)』『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。(幻冬舎)』『列車ダイヤから鉄道を楽しむ方法(河出書房新社)』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」。
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