例えばAIを効果的に使って取引先と密接につながることで収入を大幅にアップできる、新しいタイプの農家や漁師かもしれないし、彼らにアイデアと仕組みを提供して最適な市場を次々に展開する新職業の人たち(「〇〇コーディネーター」とでも呼ばれる?)が大勢出てくるのかもしれない。
いずれにせよ、今ある職業を通じて開発された能力をベースに、AIを使いこなす「新しい仕事パターン」を開発することに取り組んだ人たちだけが、いち早くそのポジションに到達できるのだ。
そうしたことを考えると、各地の大学では、旧来型の職業を前提にした授業やゼミばかりではなく、地元の企業や住民を巻き込んで、こうした新しいやり方を率先垂範して試行する動きが今以上に求められるのではないか(実際、すでにいくつかの大学では小規模ながら取り組んでいる)。
たとえゼミや授業でトライした結果が失敗やショボい成果だろうと、そうした経験と意欲がある人たちこそが、企業や地元社会が求める人材である。社会の仕組みが変わっても対応できるだけの能力基盤が育まれているのだから。
そのためには企業側も即効性の研究成果ばかりでなく、人材育成の場としての大学に資金や協業の場を提供してもらいたい。是非、大学関係者と企業関係者はご一考を。
ちなみに、現在もてはやされている職業の1つに、ビッグデータを解析し仮説を生み出す、データサイエンティストという人たちがいるが、AIがレベルアップすると代替される候補の1つとも云われる。
最先端のコンピュータサイエンス絡みの花形職業でありながらこうした事態さえ生じるのが、この分野の怖さだ。もちろんデータサイエンティストたちもそれは意識しており、この先数年以内に次のレベルにステップアップすることを考えているに違いない。
パスファインダーズ社長。30年にわたる戦略・業務コンサルティングの経験と実績を基に、新規事業・新市場進出を中心とした戦略策定と、「空回りしない」業務改革を支援。日本ユニシス、アーサー・D・リトル等出身。一橋大学経済学部、テキサス大学オースティン校経営大学院卒。日本BPM協会アドバイザー。
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