――このほかにもABテストをたくさんしているんですよね。どういった結果が出たのでしょうか。
エンギスト: 予定している日程で、泊まりたいと思っているホテルを調べたところ「満室」といったケースがありますよね。そうした場合に、ユーザーはどのくらい柔軟性があるのかを分析しました。どのようなテストを行ったのかというと、Aは何も提案しない、Bは空室がある他の週を提案したんですよね。希望する日程の前後の週を見れるようにしました。
このテストをする際、社内からは「提案なんてすると、ユーザーは混乱するだけだ」と反対の声がありました。実際にテストをしたところ、どのような結果が出たと思いますか。
A:何も提案しない
B:空室がある他の週を提案した
C:どちらでも、成約率は変わらない
――うーん、Bの「他の週を提案した」場合ではないでしょうか。
エンギスト: 答えは「C」。「どちらでも、成約率は変わらない」だったんですよね。じゃあ、どういった形にすれば成約率が上がるのか。現在、社内で研究を進めています。
次に、下の写真を見ていただけますか。上は“Free cancellation,pay when you stay”(キャンセル無料、現地払い)と書いていて、下は“Free cancellation-PAY LATER”(キャンセル無料、支払いは後で)と書いています。どちらも同じ意味ですが、結果はどうだったと思いますか。
A:“Free cancellation,pay when you stay”(キャンセル無料、現地払い)
B:“Free cancellation-PAY LATER”(キャンセル無料、支払いは後で)
C:どちらでも、成約率は変わらない
――上の「現地払い」と書かれていると、ホテルに到着するとすぐに支払わなければいけないといったイメージがあるのに対し、下の「支払いは後で」は、ホテルをチェックアウトするときに支払うイメージがありますよね。支払いはできるだけ後のほうがいいという人が多そうなので、答えは「B」なのでは?
エンギスト: 正解! 成約率が高かったのは「B」だったのですが、これはあまりいいテストではないんですよ。なぜならBの「PAY LATER」は大文字になっていますよね。テストをするのであれば、Aと同じ小文字にするべきでした。
――悪いテストの見本だったわけですね。正解したのに、なんか残念。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング