CX-5が出てきたところで、CX-5の課題についても少し触れよう。CX-5の潜在顧客でありながら、購入に踏み切れない人の中には、荷室のサイズが足りないという声が少なからずある。特にチャイルドシートを必要とするファミリー層は、おいそれとリヤシートをたためない。その場合、2列目シートを立てた状態での荷室サイズが問題になるのだ。CX-8は3列目のシートをたたんでしまえば、VDA方式で572Lの巨大なラゲッジスペースとなる。ついでに言えば、床下収納はそれと別に65Lもある。3列シートは多人数乗車だけでなく、CX-5が取りこぼした顧客へのソリューションにもなるわけだ。
そのためにCX-8は、2列目シートに工夫を凝らした。キャプテンシート(独立シート)にセンターコンソールありのラグジュアリータイプと、コンソールがない代わりにウォークスルーが可能なタイプを用意しただけでなく、6:4分割のベンチシートの3種類を用意した。キャプテンシートでは2列目は2人乗り。ベンチシートなら3人座れる。
ラグジュアリーな多人数乗りユーザー向け、ウォークスルー可能なミニバン的モデル、2列目までで最大5人乗車して、さらに大きな荷室が欲しい人にはベンチシートという3つの顔を持っている。
MPV、プレマシー、ビアンテのそれぞれの顧客に対して、可能な限りの配慮をしたと言うことだろう。もちろんプレマシーの全幅1750mmから見ると、90mmも広がった全幅は簡単に許容できないだろうし、箱形で大きなエアボリュームがあったビアンテの顧客は空間の縮小に落胆するだろう。筆者はエンジニアに「そこは切り捨てるのですか?」と意地悪な質問をした。エンジニアの答えは面白かった「今までプレマシーやビアンテに乗っていただいてたお客さまは、各社競合モデルの中からあえてマツダを選んで買っていただいたお客さまですから」。要するに増大した横幅や切り捨てた空間は走りとスタイルに振り向けたので、マツダを選ぶ人ならそれに共感してくれる人は少なくないだろうということだ。
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