“おとなのパルコ“は上野・御徒町で成功するのか?繁盛店から読み解くマーケティングトレンド(3/4 ページ)

» 2017年11月06日 07時30分 公開
[岩崎剛幸ITmedia]

業種構成に最大の特徴

 従来のパルコとパルコヤの最大の違いはその業種構成にあります。

 それはパルコの強みだったファッション依存度を大幅に下げて、飲食や身の回り品、そのほかの業種を強化したテナント構成に変えたことです。これは同社にとっても大きな変化です。同社の牧山浩三社長によれば「69年に池袋パルコがオープンした時はファッションが主流だった。今は食がファッションの要素になっている。食の中にファッションを感じるものを提供したい」ということです。

 今までのパルコの中で最も小さな売り場面積(6フロア、8200平方メートル)、全体で68店舗しかない館ですが、テナントの40%がパルコ自体に初出店という陣容というところにその意気込みが表れています。ここまでしないと今は集客できないということです。

パルコヤのテナント構成比の違い(筆者作成) パルコヤのテナント構成比の違い(筆者作成)

関心度別のテナント構成

 店舗の1階に入って目に付いたのは、カフェとコスメとワイン、ステーショナリーが同居しているというテナント構成です。店舗をモノではなく提供価値でグルーピングすると、このような構成が必要になるという1つの表れです。今後は従来のモノ分類でフロアを区切るやり方はなくなり、顧客の関心度別分類でフロア構成される時代になるのを予感させます。

1階 RMKの並びにヴィノスやまざきをリーシング 1階 RMKの並びにヴィノスやまざきをリーシング

 身の回り品で注目は、単品一番店が多数出店している点です。ハンカチ、がま口、メガネ、漢方薬、カバン、革小物、アクセサリーなどの単品に特化した専門店がそろっています。それぞれは10坪程度のスペースですが、個性的な店ばかりで、幅広い顧客層に対応しようとしているのが分かります。

東京・三宿の「オールドファッションストア」は国産ハンカチ専門店 東京・三宿の「オールドファッションストア」は国産ハンカチ専門店

 強化している飲食は、地元の銘店を多数誘致しています。最も苦労したのがこれらの誘致だったろうと思います。蕎麦の老舗「うえの やぶそば」、上野の行列店「あんみつ みはし」、上野・湯島にあった日本料理の名店、くろぎが作る「廚 otona くろぎ」というカフェバーなど、従来の商業施設にはなかった飲食テナントがそろっています。その影響か、スターバックスが上層階の5階にあるというのも珍しい出店形態です。

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