“おとなのパルコ“は上野・御徒町で成功するのか?繁盛店から読み解くマーケティングトレンド(4/4 ページ)

» 2017年11月06日 07時30分 公開
[岩崎剛幸ITmedia]
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 また、商圏特性に合わせたテナントいう意味では、メガネ屋が3店舗(ゾフ、スペックス、金子眼鏡店)も同じビルに出店しているのは珍しい構成です。これだけ全体の店舗数が少ない中で3店舗もメガネ屋があるというのは、高齢者も多く来店が見込まれるため需要があると想定したのでしょう。ターゲットによって使い分けることができ、顧客思考の構成だと思います。

 パルコの売り場ではありませんが、地下1階の松坂屋が展開する婦人靴フロアはコンフォートシューズに特化した売場として興味深いフロアです。

ヒールの高い靴がほとんどないコンフォートシューズに特化した売場 ヒールの高い靴がほとんどないコンフォートシューズに特化した売場

 導線も広く、もちろん甘味処もある婦人靴フロアは従来の松坂屋顧客にも新たな客層にも支持される売り場になりそうだと感じました。

 地元住民に親しまれている松坂屋上野店に加え、パルコヤが大人を狙うことで、従来の松坂屋南館では集客しきれなかった新しい顧客層を取り込むことができるはずです。上野動物園のパンダの赤ちゃんのシャンシャンが公開になれば、予想以上のお客さんが流れてきて、上野松坂屋およびパルコヤは繁盛店になる可能性を秘めています。

 松坂屋はこの地で250年にわたって商売をしています。その松坂屋がここまで同じ地で商売を続けてこられたのは、常に商売を時流に合わせて変化させてきたからにほかなりません。その時々の大衆の気持ちに寄り添い、お客さんに喜んでもらえる店づくりをしてきたからこそ、250年続けてくることができたわけです。

 今回の新たな取り組みは次の250年に向けた再スタートのための取り組みです。そのためにはパルコという革新が必要だったわけです。そして、パルコそのものにも革新が求められました。その結果が今回の新たな取り組みとなっています。

 この狙いが的を射ていれば、松坂屋とパルコヤ合わせて500億円以上の売り上げになるかもしれません。同グループのエース店舗になれるかどうか、今後も注目したいと思います。

著者プロフィール

岩崎 剛幸(いわさき たけゆき)

株式会社 船井総合研究所 上席コンサルタント

1969年、静岡市生まれ。ファッションを専門分野とした流通小売業界のコンサルティングのスペシャリスト。百貨店の営業戦略および全社MD戦略立案、GMSの売場再構築、大手メーカーの新規ブランド開発、SPA型小売業の事業戦略策定、中小専門店の現場支援コンサルティングなどを通じ、各業界で注目を集めるグレートカンパニーを数多く輩出させている。街歩きと店歩きによる消費トレンド分析と予測に定評があり、最近ではテレビ、ラジオ、新聞、雑誌でのコメンテーターとしての出演も数多い。

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