松坂大輔に忍び寄る「無職」という肩書き赤坂8丁目発 スポーツ246(2/4 ページ)

» 2017年11月09日 12時22分 公開
[臼北信行ITmedia]

カネを返せ

 日本プロ野球界でトップクラスの資金力を誇るソフトバンクとはいえ、いくら松坂のようなネームバリューのある選手であってもまったく戦力にならなければ、みすみすカネをドブに捨てることになってしまう。

 それでも球団や親会社のソフトバンク幹部の間には「松坂は腐ってもスーパースターであることに変わりはないし、さらに密接な関係を築き上げておけば将来的な監督候補として強固なホットラインもつくることができる。だから何とか救いの手を差し伸ばしてやるべきだ」「ここで恩を売っておけば、きっと大輔も『生涯ホークス』を宣言してくれるに違いない」などといった楽観論が大勢を占めていた。

 3軍リハビリ担当コーチを務めながら現役復帰を真剣に目指していた有力OB、斉藤和巳氏の例もあり、大幅なコストカットを断行しながらも松坂の生き残り策について道筋ができ上がっていたのだ。しかしながら今となっては結果的に、それも非常に甘い見通しだったと言わざるを得ない。松坂の図々しさを球団は残念ながら見極められなかったということだ。たとえワガママにしても度が過ぎる――。チーム関係者からは「恨み節」が一斉に聞こえて来ているのが現状である。

 本来ならば、松坂は3年間ゼロ査定でも文句が言えない成績だ。それでいてチームの中ではトップクラスの年俸を手にしていたのだから、ある意味では強心臓の持ち主と言える。ソフトバンクの球団関係者は松坂について次のように嘆く。

 「これまで彼に支払った莫大な額の年俸には、単に『選手としての活躍』を見越したサラリーだけではなく『スーパースターとして周囲の選手に与える波及効果』や『将来的に指導者としてホークスに残ってもらうための約束事項』が実質上加わっていたことも忘れてほしくない。だが松坂は何もちゅうちょすることなくホークスを辞め、サッサと出て行ってしまった。

 正直言ってホークスの若手でこれまでの3年間、松坂を手本にしようと思ったメンバーは誰一人としていない。そんな四面楚歌の中でも我々は彼をかばい続けていたのだ。コーチ契約に関してもすんなり受け入れてくれるかと思いきや、せっかく腐心して提示したコーチ就任案をバッサリと切り捨てて自分の夢だけを追い求めて去ってしまった。『カネを返せ』というのが正直なところだ」

一軍での登板はわずか1試合にもかかわらず、松坂は3年12億円(推定)を手にした

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