理想の彼はどこに? 47都道府県価値観ランキング都会に来る女性が求めるのは……(2/2 ページ)

» 2017年12月12日 11時15分 公開
[天野馨南子ニッセイ基礎研究所]
ニッセイ基礎研究所
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 では、結婚や出産後も働きたい女性については、もし自分の生まれた地を離れて考えるなら、どのエリアの男性から探すことが良さそう、となるだろうか。上のランキングを「割合が少ない順」に並べかえてみよう(図表2)

 伝統的役割分担が理想の男性が平均より少ないエリア(全26エリア中)上位10エリアを見ると、東日本・西日本まんべんなく散らばっているように見える。ただし、東北エリアは「女性に働いてほしい」もしくは「専業主婦でいてほしくはない」男性が多いようである。

 東北6県のうち、宮城県を除く東北5県が上位10エリア入りをしているからである。

図表2 自分の家庭の理想は「夫が外で働き、妻が家を守る」ことだ。男性比率(少ない順) 図表2 自分の家庭の理想は「夫が外で働き、妻が家を守る」ことだ。男性比率(少ない順)

印象論だけでのエリア移動はNG

 図表からは「大都会は女性の仕事がたくさんありそうだから、結婚後も働けるかも」「都会の男性のほうが、女性が結婚後も働くことに理解がありそう」といった、未婚女性がともすると抱きがちなイメージだけで、自らの育った地と比較もせずにほかのエリアの男性に期待してはいけないことが分かる。

 3大都市と言われる東京、大阪、名古屋のある東京都、大阪府、愛知県をみると、愛知県はむしろ「専業主婦が理想」の男性割合でベスト5にランクインしている、専業主婦理想男性の多いエリアである。

 つまり「大都会のあるエリアの男性のほうが、女性が結婚後も働くことに理解がありそう」は、愛知県に関しては当てはまらない。

 大阪府も「専業主婦が理想」男性割合14位で、愛知県・大阪府の両者とも全国平均より多くの男性が専業主婦を理想としている。

 「カップルのあり方で最も最先端をいくのでは」というイメージが強そうな東京都も、全国平均よりは専業主婦が理想の男性は少ないものの、少ない順で上位10エリア入りはしていないことに注目したい。

 そのほかを見ても、若い女性にお洒落で先進的なイメージのある大都市のある神奈川県(横浜市、川崎市)、兵庫県(神戸市)、京都府(京都市)、福岡県(福岡市)、広島県(広島市)など、2015年の国勢調査で「法定人口トップ10入り」した大都市のあるエリアのほとんど(北海道・埼玉県以外)が全国平均よりも専業主婦を理想とする男性割合が多い方にランクインしているのである。

 こうしてみると、「都会の男性のほうが、女性が結婚後も働くことに理解がありそう」と思っているのであれば、もしかすると考え直した方がいいのかもしれない。

 「お洒落な都会の街で、女性が働くことに理解がある夫と共働き生活」

 もちろん、男性側の理想に合わせてばかりで結婚が進むわけではない。だとしても、実態はむしろ「お洒落な都会の街で、女性が働くことに理解がある夫と共働き生活」の逆になりそうなデータにも見える。女性側の理想が最終的には通るとしても、「大都市で働くお洒落な妻計画」は想像するほど実現が楽ではないようである。

 「一生に1度のことだから、慎重に決めたい」と思いつつ、「思い込み」であまり目的に合わない行動をしてしまっていないか、「行動の根拠となり得るデータを基に」考える。

 人生において大切な目標を「ただの夢」に終わらせず、より確実に達成していくためにはとても大切なことである。

筆者プロフィール

天野馨南子(あまの かなこ)

ニッセイ基礎研究所 生活研究部 研究員

研究・専門分野:少子化対策・女性活躍推進


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