「アイロンいら〜ず」ヒットの裏に、サンコーの“まずは売ってみる”戦略水曜インタビュー劇場(ユニーク公演)(2/6 ページ)

» 2018年01月10日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

アイロンいら〜ずの開発苦労話

土肥: 「アイロンいら〜ず」が売れているそうですね。サンコーは年間120アイテムほど発売するなかで、この商品は昨年で最も売れたとか。開発の経緯を教えてください。

えき: 「アイロンをかけるのは面倒だなあ」と感じている人が多いのにもかかわらず、それを解消してくれる商品はなかなかありません。楽にシャツのシワを伸ばすことができないか、自動でできるのではないか、といったアイデアから企画がスタートしました。2015年9月のことですね。

 布団乾燥機を付けて、シャツを膨らませることができればシャツのシワを伸ばすことができるのではないか。試作品をつくってみたものの、風量が足りずにうまくいきませんでした。そこで、開発はストップしたんです。

土肥: たった一度の失敗で、開発をストップしたのですか。それはなぜ?

えき: 当時、まだ家電にチカラを入れていなかったので、社内から「本当に売れるのか」といった声がありました。家電を開発するのには初期コストもかかるので、開発をストップすることに。ただ、あきらめたわけではありません。

アイロンいら〜ずによく似た商品はないか? と海外で探したところ、温風で服や靴下などを乾かすことができるモノがあったんですよね。2017年5月に、ハンガー型の乾燥機を発売したところ、ものすごく売れまして。ニーズがあるのであれば、企画がストップしていたアイロンいら〜ずも

売れるのではないか、ということで再び開発することに。

「タオルもおまかせ!可変式速乾ハンガー乾燥機」が売れたので、アイロンいら〜ずの開発を再開することに

土肥: 実際につくってみて苦労したことは何でしょうか?

えき: 当初の乾燥機は小さくて、熱も弱かったので、乾きづらかったんです。ただ、その課題は乾燥機を大きくすることで解決することができました。最も苦労したことは、脇から下の部分のラインをどうするか。この形にすれば、こっちにシワが残る、じゃあ別の形にしたところ、違うところにシワが残るといった感じで、何度も何度も形を見直しました。

土肥: 脇から下のラインがそこまで重要だとは。パッと見たところ「普通」な印象しかありません(失礼)。ただ、パッと見て「普通」なところが、この商品のキモかもしれません。

えき: シャツといえば男性のワイシャツを想像されるかもしれませんが、シャツにもいろいろな形がありますよね。女性用のシャツにも対応しなければいけませんので、脇から下のラインは本当に苦労しました。なんとか完成して、サイズはSから3Lまでであれば対応可能となっています。

アイロンいら〜ずはSから3Lまで対応している

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