大人たちによって作り上げられた“ポスト真央”、本田真凛の悲劇赤坂8丁目発 スポーツ246(3/4 ページ)

» 2018年01月18日 10時58分 公開
[臼北信行ITmedia]

関係者たちのショックは大きい

 しかしながら本田は前記したように昨年の全日本選手権で惨敗し、平昌五輪代表の座も消滅。代表落選後の放映となった関西テレビは本来であれば本田の「悲しみの涙」ではなく「喜びの涙」にまつわるドキュメンタリー番組としたかっただけに「大晦日の目玉として用意していたが、当日は現場スタッフを中心に局内全体が深いため息に包まれていた」(同局関係者)というのもあながち大げさな表現ではないのだろう。ちなみに事情通はこうも打ち明け、補足している。

 「アイドルのようなルックスを誇る本田が“ポスト真央”となって平昌五輪に出てくれれば日本の女子フィギュアは大きく盛り上がり、スター不在の空洞化を避けられる。彼女の周りに擦り寄る人間はそう考えていた。平昌五輪でフィギュアを中継する局も含め各テレビ局は当然、数字(視聴率)が欲しかったのだ。だが、その狙いもご破算になってしまったことで本田をプッシュしていたテレビ局関係者たちのショックは相当に大きい。

 それはスポンサー、CM・広告契約を結んだ企業もまったく同じだ。すべての企業の契約料など諸々を合わせれば総額で数千万円、いや億単位のカネが動いたとも言われているから支払った側は本田の五輪出場が消えた瞬間、社内全体が凍りついたと聞く。

 ある企業では年末にもかかわらず関係者数人がトップに呼び出されて“事情聴取”を受け、てん末を聞かされた挙句に始末書を書かされたとか。それぐらいならばまだよくて、別の企業からは本田との契約に携わった関係者が『飛ばされてしまった』とのウワサまで聞こえてきている」

 それでも本田への先行投資に失敗した関係者たちは間違っても本人を責めてはいけない。これまでの本田フィーバーについて女子フィギュア関係者の間からは「必要以上に周りが煽り過ぎ」との指摘がたびたび出ていた。つまり、そこまでのレベルに達していない可能性が高いのに本田を“ポスト真央”に仕立て上げ、まるで平昌五輪出場が規定路線であるかのごとく持ち上げ続けていた彼ら自身に責任があるのだ。簡単に言ってしまえば、フライングである。

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