<業界団体が分裂状態>
しかし、金融庁の思惑とは裏腹に、危機意識が取引所業界に広がっていないとの見方が同庁にある。
その1つの例が、仮想通貨取引所の自主規制団体の分裂状態だ。業界には最大手bitFlyerやコインチェックが参加する日本ブロックチェーン協会と、マネーパートナーズが主導する日本仮想通貨事業者協会の2団体が併存。両者は統合に向けて協議中だが、決まっていない。「業界が一大事なのに内輪もめしている場合か」(金融庁幹部)との声が出ている。
仮想通貨事業者協会は29日、広告のあり方を見直すことを発表したが、金融庁内には対応が遅きに失したとの声がくすぶる。
みずほ中央法律事務所の三平聡史弁護士は、仮想通貨取引所のセキュリティー対策について「信託銀行や信託会社の信託の利用や、保険の活用なども1つの対策だろう」と話している。
しかし、利用者の拡大を優先してきた業界が、システムや安全性確保に資金を振り向けるかは不透明だ。金融庁のある幹部は「有名タレントのCMや政治活動にお金を使う余裕があるんだったら、システム構築に資金を振り向けるべきではないか」と話している。
(和田崇彦 編集:田巻一彦)
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