トイザらスを破滅に追いやったのは誰か、得するのは誰か来週話題になるハナシ(3/5 ページ)

» 2018年03月30日 07時43分 公開
[藤井薫ITmedia]

競合他社との違いを打ち出せず

 トイザらスがデビューした当初、店内を回りながら、自分で商品をショッピングカートに入れる「オモチャのスーパーマーケット」は、斬新なコンセプトだった。

 しかし、時がたち、商品が淡々と並ぶレイアウトは、わざわざ足を運びたくなるような魅力的な場所ではなくなってしまった。競合他社との違いも打ち出せず、ブランド力は落ちていった。

 店舗の違いがあまりなければ、消費者はどのお店で商品を購入しても同じだと感じてしまう。そうなると、価格が最も重視されるのは当然で、価格競争が激化していった。

 オモチャの販売は利益率が低いので、オモチャだけで勝負するトイザらスにとって、価格競争になった場合は非常に不利だ。競合のウォルマートやターゲットは、生鮮食品から家電まで多様な商品を取り扱っているため、利益を他で補うことができる。そのため、オモチャの販売価格をギリギリまで下げることができる「体力」がある。

 そこで、トイザらスは価格以外で、消費者にアピールする必要性が出てきた。店舗にもっと足を運んでもらえるように、店内に子どもがオモチャで遊べるプレイルームやバースデーパーティーができる場所を設置することで差別化を図ろうとしたが、その設備投資に必要な費用を捻出することもできなかった。

 だがそんな計画も既に手遅れだったのかもしれない。大きな敗因は、トイザらスが、売り上げの減少にもかかわらず、店舗の閉鎖などの改革に取り掛かるのが遅すぎたということだろう。

 17年9月に経営破たんを発表した際、トイザらスは過去最多となる1697店舗を展開していた。そして、18年1月に米国内の182店舗を閉鎖することを発表したが、起死回生にはならなかった。

トイザらスは改革の着手に遅れた

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