RIZAPは湘南ベルマーレの「優勝」にコミットできるのか経営権取得を正式発表(1/2 ページ)

» 2018年04月06日 16時18分 公開
[濱口翔太郎ITmedia]

 「ベルマーレの『タイトル獲得』にコミットする」――4月6日にサッカー・Jリーグの湘南ベルマーレ(神奈川県平塚市)の経営権取得を発表したRIZAPグループの瀬戸健社長は、同日開いた会見でこう宣言した。

 RIZAPは今後、3年間で10億円以上を同チームに投資する。主力のフィットネス事業で得たノウハウを生かし、選手育成、トレーニング支援、食事指導、クラブハウスの設備拡充――などを進め、チームを強化する方針だ。

photo RIZAPグループの瀬戸健社長(=左)。中央は湘南ベルマーレの眞壁潔会長、右は三栄建築設計の小池信三社長

 マーケティングのノウハウもクラブ運営に応用し、ホームの「Shonan BMW スタジアム平塚」(平塚市)でのイベント開催や食事メニュー刷新なども検討中。さらなるサポーター獲得と来場者増も目指す。

 瀬戸社長は「積極的な攻撃サッカーを展開している点や、若手育成に注力している点を魅力に感じてベルマーレの支援を決めた」と説明。「2020年までに、天皇杯、J1リーグ、ルヴァンカップのいずれかで優勝させる。スタジアムの収容率もナンバーワンにする」と目標を語った。

合弁新会社を設立

 経営権取得に当たり、RIZAPはベルマーレ筆頭株主の三栄建築設計との合弁新会社「メルディアRIZAP湘南スポーツパートナーズ」を9日付で設立。出資比率はRIZAPが49.95%、三栄が50.05%だが、株主間契約によってRIZAPの連結子会社となる。

 三栄は保有する同チームの全株式(33.4%)を新会社に移管する。新会社はベルマーレが実施する第三者割当増資も約1億円で引き受け、計50.0%の議決権を持つ。

photo 今後の湘南ベルマーレの経営体制

 ただ、こうした財政面での支援を受けるとはいえ、Jリーグで“ビッグクラブ”と称される浦和レッズやガンバ大阪などと比べると、ベルマーレの資金力が見劣りすることも事実だ。

 「優勝へのコミット」を掲げたRIZAPは、どのような工夫によって潤沢な資金力を持つライバルチームに打ち勝つつもりなのだろうか。

ビッグデータをチーム運営に生かす

 瀬戸社長は「戦力強化に向けてビッグデータを活用する。当社はフィットネス事業で収集した10万人の顧客データを持っており、個々人に応じた最適なトレーニング方法を熟知している。選手の食生活指導も行い、絶対に負けないフィジカルを実現する」と説明する。

 「今後はシュート率や走行距離といった試合のデータも取得し、AI(人工知能)で分析する。トレーニング方法のさらなる改善につなげたい。選手が最大限にポテンシャルを発揮できる環境を作っていきたい」という。

 ただ、その他の方針については「当社はあくまでビジネスのプロ。サッカー面での選手獲得や起用法などにまで口出しするつもりはなく、その道のプロであるベルマーレに一任する」と話すにとどまった。

 これを受け、ベルマーレの眞壁潔会長は「チョウ・キジェ監督のサッカーを変えるつもりはないが、資金力を得ることで選手の待遇を改善し、競合チームへの流出を阻止したい」と話す。

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