国土交通省は、海事産業での女性活躍を推進する「輝け!フネージョ★」プロジェクトを始めた。4月9日には女性が働きやすい職場環境を実現している中小企業などの事例集を国土交通省のWebサイトに公表、同じく10日には学識経験者や船員経験者など女性有識者8人による検討会の報告書を発表した。
フネージョとは船員や造船・舶用工業など海事分野で働く女性を幅広く象徴する造語。イタリア語の「アダージョ」(「くつろぐ」、「ゆっくりと」等の意)の語感を込め、母なる大洋を船舶が優雅にゆっくりと航行する姿を想像させ、職場を寛がせるイメージだという。
報告書によれば、海運業に従事する船員2万9827人中、女性は708人。女性船員の比率は僅か2.4%にとどまっており、女性の就労が進んでいない現状が浮き彫りになっている。また、国交省による意識調査では79.9%の事業者が女性の雇用経験がなく、66.7%が雇用に対しても否定的だった。その理由には、女性船員用の船内設備の費用負担が大きいことやセクハラなどの問題が発生することを心配する心理面での障壁が挙げられた。
一方、商船系大学など船員教育機関の女子学生77人に対する意識調査では、採用してくれる船社が少ないことや、情報が入手しづらいことを理由に32.5%が船員への就職を希望しないと回答。船員として働く上で心配な点として「結婚・出産後も仕事を続けられるか」が挙げられ、女性が船員として働く上で必要なものの上位3つは「産休・育休制度の充実」「船員への復帰が容易となるサポート体制の構築」「多様な働き方を可能とする制度の導入」だった。
検討会においては、女性船員への対応について事業者の意識と女性船員の意識とのギャップが指摘された。例えば、船内設備などの費用面やセクハラの心配が挙げられた女性船員への対応については合理的な配慮がなされれば良く、過度の対応は不要であるという意見が出された。また、船員は海上に長期間出て働くこともあり、子育てをしながら働くことが難しいため、ライフステージの変化に合わせた体制・制度の充実が必要との声も挙がった。本人の希望に応じた乗船機関の短縮や産休後における研修の充実・海技資格の維持などサポート体制の構築が提言されている。
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