巨人の上原は、なぜ叩かれ始めているのか赤坂8丁目発 スポーツ246(4/4 ページ)

» 2018年04月19日 14時20分 公開
[臼北信行ITmedia]
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上原の言動に疑問

 当時のメジャーリーグから引く手あまただった黒田氏と対照的に上原は熱望していたMLB球団からのメジャー契約オファーは一切なし。それどころかメジャー契約がなければ引退すると言い切っていたはずが、あっさり前言撤回となってしまったのだ。あえて失礼を承知で言わせてもらうと、格好は良くない。なんだかんだと日本復帰を決意した理由についてキレイごとを口にしても、正直に言って突っ込みどころは満載だ。

 だから打たれれば、その“メッキ”がいとも簡単に剥がれてしまうのである。別に抑えているうちはいい。「これがMLBを震わせた究極のパフォーマンスだ」「かつてレッドソックスで世界一をつかんだ右腕だ」などと賞賛の嵐とともに“よくぞ帰って来てくれた”と拍手を送られるからだ。

 しかし今のように、いざ打たれまくればファンや世間は途端に手のひらを返す。絶対にオファーがあると思い込んでいたから、「メジャー以外は引退」の強気宣言を口にしたものの、それがないと分かるや否や慌てて撤回せざるを得なくなり、駆け込みで巨人と契約を結ぶしか道がなくなったという“ずる賢さ”が、残念なことにどうしても見え隠れしてしまう。期待通りのパフォーマンスを出せないと巨人復帰が天国からすぐさま地獄へと転がり込む危険性をはらんでいたのは、そこに秘められている。

 もちろん、上原にとってそういう誤解を受ける今の流れは本意ではあるまい。それでも引退を撤回してまで復帰を決意したのだから、こういうリスクがあることは覚悟していたはずだ。

 彼はこれまで「雑草魂」を胸に数々の逆境を乗り越えてきた。今後待ち受けるイバラの道はこれまで克服してきた困難とは比べものにならないかもしれないが、何とか打破して再び「オジサンのもうひとがんばり」を世に示してくれることを願っている。

臼北信行(うすきた・のぶゆき)氏のプロフィール:

 国内プロ野球、メジャーリーグを中心に取材活動を続けているスポーツライター。セ・パ各12球団の主力選手や米国で活躍するメジャーリーガーにこれまで何度も「体当たり」でコメントを引き出し、独自ネタを収集することをモットーとしている。

 野球以外にもサッカーや格闘技、アマチュアスポーツを含めさまざまなジャンルのスポーツ取材歴があり、WBC(2006年第1回から2017年第4回まで全大会)やサッカーW杯(1998年フランス、2002年日韓共催、2006年ドイツ、2010年南アフリカ、2016年ブラジル)、五輪(2004年アテネ、2008年北京、2017年リオ、2018年平昌)など数々の国際大会の取材現場へも頻繁に足を運んでいる。


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