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インタビュー
» 2018年04月25日 08時10分 公開

水曜インタビュー劇場(初公演):50年経っても、なぜ霞が関ビルは存在しているのか (2/6)

[土肥義則,ITmedia]

長方形の形をしていて、真ん中にエレベーター

土肥: 一度建てた建物はいずれ使えなくなって、壊さなくてはいけません。それは高層ビルでも同じ。高度経済成長時代にできた高層ビルが解体ラッシュを迎えているのに、なぜ50年前に建てられた霞が関ビルはいまも“現役”で活躍しているのでしょうか?

大益: いくつか理由があるかと思うのですが、ひとつに「部屋のレイアウト」があると思っています。平面図を見ていただけますか?

霞が関ビルの平面図

土肥: 長方形の形をしていて、真ん中にエレベーターがあります。

大益: 50年以上前に建てられたビルで、このくらいの広さになると、エレベーターと壁の間に柱が必要だったんです(霞が関ビルの場合、エレベーターと壁の距離は15メートル60センチ)。ただ、オフィスのなかに柱があると邪魔になりますよね。視認性が悪くなりますし、回遊性も悪くなる。柱をなくすために何をしたのかというと、「梁(はり)」で支えました。

 このような話をしても「たったそれだけのこと?」と思われたかもしれませんが、簡単なことではありませんでした。エレベーターと壁の距離が長くなればなるほど、梁を太くしなければいけません。ただ、太くすればするほど重くなるので、建物に負荷がかかってしまう。工事費が増すだけでなく、特に低層階は梁だらけの建物になるので、使いにくいオフィスになりますよね。

 じゃあ、快適な空間をつくるために何をしたのか。専門的な話になりますが、断面効率(重量当たりの曲げ剛性や曲げ強度)が優れている「大型H型鋼」というモノを開発して、建てる際に使いました。軽くて丈夫なモノがいいので、梁のなかに六角形の穴を開けることによって軽量化に成功しました。

土肥: 4階以上のオフィスは同じレイアウトになっていますね。柱がひとつもない。

大益: 1963年に建築基準法が改正されるまで、建物の高さは31メートル以下でなければいけませんでした。31メートルということは、7〜9階の建物しかつくれなかったので、柱はそれほど太くなくてもよかった。ただ、高層ビルを建てることになったので、新しい技術が必要になりました。完成後、高層ビルが次々に建っていくわけですが、この「大型H型鋼」は現在でも使われているんですよね。

現在も代表的な形鋼の1つである「大型H型鋼」は、霞が関ビルで初めて使われた

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