ネコのドラえもんが、ネズミのミッキーに絶対勝てない理由ディズニーとドラえもんの差(2/6 ページ)

» 2018年05月01日 07時06分 公開

幅広い収益構造と多角化がもたらす、顧客1人当たりのLTVの違い

(1)幅広い収益構造と多角化

 ディズニーは創業から90年の月日を経ても、毎年高い成長を続け、売り上げは実に6兆円、時価総額は20兆円に迫る世界有数の巨大コングロマリットに成長している。

 近年ではピクサーやマーベル、ルーカスフィルムの買収に続き、21世紀フォックスの約6兆円規模の買収など、「M&A」という魔法でコンテンツから流通網まで次々と戦略的資産を獲得している。やはり持続的な成長に必要なのは、シナジーのある複数の事業を成長させることであろう。

 ディズニーは、映画に始まり、それをテーマパークで横展開し、グッズを世界中で売り、放送広告事業でも巨額の売り上げと利益を上げている。そしてこれらの事業は全て映画のストーリーを起点にしており、シナジーが強い。

 映画を消費した顧客がテーマパークでさらに消費し、グッズを買い、放送を見ることで、一度作成したコンテンツをひたすら横展開し、幼少期に顧客のハートをつかんだら最後、その後大人になってもさまざまな場面で収益化していくのだ。

 ディズニーとドラえもんを比べたとき、1人当たり顧客のLTV(Lifetime Value)に大きな差があるのは、そのシナジー溢れる多角化の成功と幅広い収益構造の違いに他ならない。

 なお、日本アニメスタジオの中でついに、ジブリがテーマパーク化に動き出したが、果たしてもうかるのだろうか? ジブリのテーマパーク化は、その人気の頂点が過ぎてかなり時間が経つので遅きに失した感があるが、世界中に根強いファンが存在する。

 ただし、根強い人気を誇るからと言ってテーマパークが成功するわけではない。実際にディズニーランドに関しても、ユーロディズニーが初期投資を掛け過ぎて長年赤字体質に苦しんでいるのは、周知の事実である。

「ジブリの大倉庫エリア」のイメージ(出典:愛知県)

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